2月に、→Amazon.co.jpが「すべての出品商品に販売価格の1%以上のポイント付与」へ
にて書いた件。
5月23日より、Amazon.co.jpがそのサイト上で販売されているすべての商品
(Amazon直販の品だけでなく、出品者が出品しているものも含めすべて)
に販売価格の1%以上のAmazonポイント(Amazonでの買い物に使えるポイント)を付与します、と。
で、ポイント費用は出品者に負担させるということで、
これはおかしいんじゃないの・・・という記事だったのですが、
この件について動きが。
Amazon.co.jpがこれを撤回すると発表しました。
官僚が書いたみたいなメールが来た
すでに報道もされています→読売新聞オンライン アマゾン、ポイント還元義務撤回…出品者の任意に
が、マーケットプレイスで商売している私のもとへもメールが来ました。
これが来たのが4月10日。
[重要なお知らせ]
Amazonポイントプログラムの変更について平素よりAmazon.co.jpにご出品いただき、誠にありがとうございます。2019年2月20日にご案内いたしましたAmazonポイントプログラムの変更に関して、今後の予定変更をお知らせいたします。
ポイントを獲得・利用されるお客様は、より多くのお買い物を楽しまれています。そのため、Amazonは、近日中に大半の直販商品に対しAmazonポイントの付与を開始する予定です。出品者様の出品商品については、1%のAmazonポイントを付与していただく必要はありません。これまでと同様、出品者様のご自身のご判断で、Amazonポイントを出品商品に設定していただけます。
「重要なお知らせ」「Amazonポイントプログラムの変更について」と銘打ってあったので
「5月から強制ポイント始まりますよ、準備はよろしいですか」
という念押しのメールなのかな・・・とスルーしそうになりました。
しかしいちおう読んでみたら、
出品者様の出品商品については、1%のAmazonポイントを付与していただく必要はありません。
と書いてある。
なんでしょうかね。もっとはっきりと「強制ポイントは撤回します」
と言えばいいものを。
一瞬ではなんだかよくわからない。
なぜ変わったのか理由も書いていない。
この遠回しな感じはいかにも「間違ったことを言いました。お詫びして撤回します」
と言いたくないんだろうな、と思わせますね。Amazonの幹部には元官僚とかがいるんでしょうか。
だいたい、すでに1%ポイント付与に備えて価格の変更などの準備をしていた出品者だってたくさんいたはずであり、
それならばまずは「ご迷惑をおかけしてすみません」というお詫びから始めるべきでは・・という話。
それにAmazonが最も重視している(はず)のカスタマーだって、
「おお・・5月からはマケプレの出品者から買ってもポイントがつくんだ。いいね!」
と期待した人が多かったかもしれない。
「謝ったら負け」という国民性のアメリカの企業だから
ここで「間違っていました」とはっきり言わないんでしょうが、
日本ではそれでは「何様?」と思われてしまうんだということをもっと考えるべきでは。
撤回の理由は明らかにされていませんが、
結局は公正取引委員会の調査を受け
「ちょっとまずいかも」と思ったからでしょう。
もしも公取委が「ok」と言ったならそのまま実行されていたであろうことは想像に難くないわけで、
Amazon.co.jpの姿勢が変わったわけでもなく、
我々出品者はまだまだ警戒しなければなりません。
「地球上で最もお客様を大切にする企業」
Amazonの企業理念は、
「地球上で最もお客様を大切にする企業」らしいですよ。
Amazon.co.jp アマゾンの企業理念 地球上で最もお客様を大切にする企業 ~Amazon.com創業20周年~ Kindle版 国際情勢研究会 (著)
ふ~ん。Amazonマケプレで商売している身でこう言うのもなんですが、
私自身Amazonで買い物をしたり出品したりするなかで
そのように感じたことは
まったくといっていいほどないですね。
出品者としては、初期のころにはわからないことが多くて
よくテクニカルサポート(出品者の問い合わせに主に対応する部署)
とやりとりしていましたが、
かえってくるメールの大半は紋切り型の文言が並んだ定型文。
込み入った内容の話でも、基本的にちょっと何言ってるのかわかんないメールばかりが返ってきて
なかなか解決につながらないことばかり。
問題解決につながらないのはまだいいとしても、
結局つまり誠意が感じられないんだな。そこが問題。
それに、詐欺まがいの隣国の出品者がウジャウジャいるのを放っておいたり、
完全にサクラとしか思えないカスタマーレビューがそこらじゅうにあふれているのもそのまま放っておいたり。
お客様のためにならないことがたくさん起こっているのに、
そういったことにはおカネと手間をかける気が全然ないように見えます。
今回のポイントの件を考えると、
「我々はもう世の中になくてはならない存在になった。好き放題やって大丈夫」
という驕りが透けて見えてきちゃって、
せっかくの立派な企業理念もしらじらしく感じられてきますね。
どれだけデカい企業であろうとも、こういう驕りによって凋落することはいくらでもある
というのは同じアメリカのGMだのフォードだので証明されているのだから、
このへんでちょっと姿勢を改めたらどうか。
他の国はともかく、日本でこんなことをやっていたら
いつでもほかの企業にとって代わられるかも。
Amazonだって最初はちっぽけだったんだから、そういう新興勢力にいつやられるかわからない。
↑創業者、ジェフ・ベゾスの自伝的な本。
取引先も従業員も世の中のあらゆる人は顧客であると考えて、あらゆる人を大事にしなければならない、とする姿勢でいることが
商売をするうえでは重要なことだ、と私は(ていうか日本人は)考えるんですが、
ジェフ・ベゾスは(カルロス・ゴーンなどガイジン経営者はみんなそうですね)
自分の会社にカネを払ってくれる人間だけが顧客であって、
従業員や取引先はそうではないと考えていることがよくわかります。
それに、コミュニケーションというものを軽視、無駄なことだとする思想も。だからサポートがいい加減なんだな。
Amazonという企業は「便利」だけれど「魅力的」じゃない、と感じられる理由がわかる本です。
カネの亡者が世界一の富豪になってヨカッタネ、という感想しか出てきません。
今回のポイントの件は巨大企業の驕りが垣間見えて、
ますます「そろそろAmazonで商売するのやめるか・・」
と考えさせられるものでした。
政治家にしろ企業にしろアスリートにしろ、テングになっている姿というのは見苦しいものだ・・
と他山の石としたいものです。