さきの大相撲夏場所では平幕の琴勝峰が優勝。内容も立派だったし優勝しても調子にのって余計なこと言わず立派な態度だったし、このまま頑張って上へ駆けあがってほしいですね。
対して新横綱の大の里は11勝4敗という成績。金星を4つ配給ということでいろいろ言われましたね。
横審のおじいちゃんはそれについて「残念至極」とかいって酷評していましが、いやいやいや11勝4敗のどこが残念なんだよ。平幕に負けたけど上位には負けてないんだろ。「新横綱のプレッシャーのなかで11勝4敗、優勝はできなかったが立派な成績だったよね、今後もその調子でがんばれ!」となぜ言えないのか。器が小さすぎる。横審の委員長は特殊詐欺集団自民党に長年いた政治家だが、15日間のあいだに4つ負けたくらいでなんだかんだ言われる横綱のプレッシャーがどれだけのものか、何十年も公約を果たさずにいても選挙に落ちるまではとりあえずなんとかなっちゃう政治家という商売を長年チンタラやってた人間にはわかるはずもない。ならばどんな成績だろうが「よく頑張った」とだけ言っとけや、という話でしかない。
しかし、どれだけのプレッシャーにさらされようとも、目前の勝負、与えられた仕事から逃げるってのは横綱として、いやプロの力士として、いやそれ以前に男として許されることではない。その意味で横審は「大の里は立派な成績だったが、豊昇龍は親指のケガで休場? こないだも負けたら急にケガがわいて出てきただろ。横綱の責任をなめてんのか。もうやめちまえよ」と言わなくてはならなかった。委員長は「ケガで休場は残念」と言っていたが、いやいや残念なのはそこではない。だれがどうみても、「これ以上負けたら恥ずかしいから逃げよう」というふうにしかみえないその姿勢が糾弾されるべきでしょう。
ボロカスに言われつつも皆勤した結果負け越した横綱にこそ「男」を感じる
豊昇龍。1勝3敗になった時点で、「来るぞ来るぞ~。今度はどこが痛いって言い出すのかな」と思いましたが、予想したとおりに「足の親指が・・」とか言い出して休場。申し訳ないが笑いが漏れてしまった。同じ思いをした好角家も多いでしょう。それどころかほかの力士たちも「やっぱり!」となったんじゃないか。「横綱だのといったところでちょっと負けりゃあすぐ泣きごと言って逃げる腰抜けなんだろ」とファンにも下の力士にも思われて、横綱の権威も品格もへったくれもないのでは。
現芝田山親方の横綱大乃国は15日間皆勤で負け越しっていうのをやってて、「おにいちゃん」の2代目若乃花も場所中にケガしても強行出場し結果皆勤で負け越し、っていうのをやっている。若乃花のときはどうみてもまともに相撲がとれてないようにみえたし、休場しろとさんざん言われていたのをおぼえているけれど、それでも出場して結果として負け越した。
「休場すればよかったのに!横綱が負け越しなんて恥ずかしい」ってのが、当時も、そして今も横審や協会やファン(そんな人をファンなどと思いたくないが)の感じる(感じた)ところだったでしょう。
しかし、横綱の「品格」だの「権威」「責任」とはなにか、を考えたとき、多少のケガがあろうが負けが込もうが真正面から勝負して15日間やりおおせた男たちと、たいしたケガもしてない(いや、力士たるものちょっとしたケガはいつも抱えているものだろ、と思えば、おそらくケガなんぞしてないんだろうと言ってもいいのではないか)のにちょっと負けたからといって「来場所がんばればいいや。客がガッカリする?来場所また見に来てくれや」と気軽に休場して低い成績を回避する野郎、はたしてどっちが横綱の責任をはたしていると言えるのか。
私は明らかに前者だと思うし、男としてシビれ尊敬できるのも間違いなく前者。相撲を志す子どもたちに「こういう男を目指せ」と言いたいのも前者。
べつに横綱が負け越したっていいじゃないか。今場所7-8であっても来場所から毎場所全勝優勝するかもしれないじゃないか。なぜ協会も横審もファンもそういうふうに考えられないのだろう。勝負事は時の運も大きく関係する、強くても負けまくることだってあるし弱くても勝ちまくることもある、ってのがわからないんだろうなあ。運の要素の少ない、ほぼ実力だけで勝負が決まる将棋ですら「番狂わせ」と言われるようなことは起こる。横綱だって15日間というスパンで10回負けることだってたまにはあって当然、と考えられないのは、勝負事のことなどなにもわかってない証拠じゃないか。そういう「波」のなかで、ほんとうに強い人間は勝ちが多くなり、弱い人間は結局負けが多くなる。これはどの世界でも同じじゃないか。
もちろんケガが原因で勝てないのならちゃんと休んで再起を目指したほうがいい、ってのは間違ってはいないんだろうけど、そんな言い草を初土俵から今まで一度も休んでない玉鷲が聞いたらたぶん「情けねえ。それでも力士か」と鼻で笑うんじゃないか。彼はそんな人ではないらしいけど。
横綱のほうが責任は重いはずなのに、下の時より休むことへのペナルティが小さいという矛盾
それに、今回豊昇龍は「足の親指が痛い」といって休場したが、はたしてこれが大関カド番の場所だったらどうしたか。もしくは幕下筆頭かなんかで関取昇進の千載一遇の大チャンス!とかいう場所だったらどうしたか。おそらくなにがなんでも、負け越しが確定するまでは出場したでしょう。そこまでヒドイケガだったとは到底思えないし。
そう考えれば、いかに彼が(彼のようにすぐ逃げる奴が)横綱としての「責任」を軽んじているかがわかる。
大関カド番の場所で休場したら陥落して大損。幕下筆頭で休場して負け越したら関取への大チャンスをフイにして大損。しかし横綱は違う。「痛~い」と言ってしまえば、休んでもとりあえず自分の(直接的な)ソンはそれほど大きくない。なにしろ地位そのものは自分からやめるか不祥事とかでクビにならないかぎり保証されている。まじめに出場して負け越したらなに言われるかわかったもんじゃない。じゃあ休まなきゃあバカってもんだろ・・・と考えるわけだ。俺が休んでも損するのはカネ出してチケット買ったファンだけ。俺は損しない。それでべつにかまわない、と思っているってことでしょ。それが横綱として責任ある態度と言えますかね。それでプロと言えますかね。
昭和時代から、歴代の横綱は(ごく一部の例外をのぞいて)この特権を活用して負け越しなどの「恥ずかしい成績」になることを回避してきた。そのうえ昭和平成のころまでは八百長という横綱に有利なシステムもはたらいていたから、そこまで追い込まれる横綱も少なかった。その結果みんなに「横綱たるものせいぜい2敗、悪くても3敗でしょう」(いつかの横審の委員がいったセリフ)などというアホな認識ができあがってしまった。
しかし令和のいま、昭和時代と違っておおっぴらに八百長ができなくなった結果、大関横綱も安全相撲で勝ちを積み重ねることができなくなり、エスカレーター大関が続出。そして豊昇龍のように横綱の特権を気軽につかう横綱が出現。横綱の権威は地におちた。
一部では豊昇龍の横綱昇進が時期尚早だったんだという批判がありますけどね、これはそういう問題ではないと思う。どれだけ強い横綱であろうとも、八百長がタブーとなった(今もゼロではないんでしょうが)今の大相撲においては、たまには負けが込むことがあるのは避けられない。だから昇進が早すぎたとか実力がどうとかいう話はナンセンス。
まず、横綱が負け越し?ガチでやってればたまにゃあそういうこともあるだろ、それよりちょっと負けたからって職場放棄して逃亡するほうが負け越しよりも恥ずかしいしサイテー、という認識をファンや横審(奴らに期待しても無駄だと思うが)が持たなくてはならないんじゃないか。ちょっと負けたくらいでギャアギャア騒ぐから「もう休んじゃえ」ってなるわけでしょ。
以前も横綱稀勢の里が4連敗してギャアギャア騒がれ、それに圧されて稀勢の里がついに休場、私は稀勢の里は男を下げた、どれだけ負けて恥辱にまみれようが皆勤するべきだった、と批判したことがあったけれども、→大相撲:「連敗横綱」よりも「職務放棄横綱」を問題にせよ ここで「ちょっと負けたくらいで逃げるほうが恥」というふうになってもらいたいものです。これはマスコミの連中にも注文をつけたい。やれ誰が負けただのそんなことをいちいち書かなくていいから。格下が格上に勝ったら格下のほうをほめていればいいし、負ける横綱を貶めるよりも逃げる横綱を徹底して批判するべきだ。
豊昇龍の醜態を番付制度の改革につなげよ
それと、これは前からず~っと同じこと言ってるけれど、豊昇龍の醜態(どうするんだろうね。今後もちょっと負けたらすぐ休場、を続けるつもりなのか。引退寸前の老骨横綱ならともかく、まだ若いのにほんとバカだなあ)は、現在の「横綱」の在り方そのものを見直す機会につなげるべきでしょう。負けが込んだら休んだほうが得、っていう制度になってるからこんな横綱ばっかりになるんだから! 逃亡横綱がうまれないよう、逃亡・職場放棄をしたらすぐに横綱という立場をはく奪できるようにするべき。そのためには横綱は「地位」ではなく「免許」にすればいいでしょう。
横綱は勝てなくなったら引退しかない、ってのもやめなくてはダメ。豊昇龍に引退勧告しろなんていう話も出ていますが、まだ25歳くらいなのにそれはあまりに気の毒。まだまだこれからなんだから。やりなおしがきくようにするためにはやっぱり横綱は「免許」にしたほうがいい。それに、すぐに取り上げられる「免許」にすれば、すぐ逃げたり不祥事起こしたりしたら免許取り上げられる、という緊張感がうまれ、横審や協会が白鵬みたいなふざけた横綱にナメられることもなくなり、結果としてお客の満足度もあがるはず。
ということでこれまで毎回言ってきたことと同じ内容を並べましたが、とにかく私は「逃亡横綱」「職場放棄横綱」の存在が我慢できない。それがほんとうにとんでもないヒドいケガのせいならともかく、そうはみえないことばかりですからね。調子悪そうだけど頑張って土俵をつとめているな、というのがみえればまた違うだろうけど、そういうのはまったく感じられない。
万全の状態で土俵にあがって勝つことが横綱の品格(だから勝てなければ休む)、などというタワゴトをぬかすサイテー横綱が長年トップにたっていたせいで豊昇龍みたいな横綱がうまれてしまった。横綱の自分が勝つことをみんなが期待している!なんて自惚れが過ぎないか。お前が負けるところを見たいというファンだっている。しかしどっちにしろちゃんと出てきてくれなきゃあファンはそれを見ることができない。ならば調子が悪かろうが優先すべきは「とにかく出る」ことじゃないのか。
何度も言うけどだれが勝とうが優勝しようがそんなことはどうでもいいのですよ。男たちが命懸けでがんばる姿に感動させてもらいたいだけ。そういう感動をくれる力士こそが評価されるようになってほしいものです。