私はAmazon.co.jpの「Amazon マーケットプレイス」にて
中古CDを販売しています。
しかし、毎年のように販売手数料が上げられ、
私が販売をはじめたとき(2011年)と比べると
もう手数料が高すぎてお話にならない・・・っていうくらい。
それでも、お客様とのやりとりの手間が他のプラットフォーマーを利用する場合と比較して圧倒的に少なく、
しかも集客力も圧倒的・・・ということで
Amazonから離れられずにいます。
しかし、「もうamazonから撤退するべきだろうか・・・」と考えてしまうような事態が。
すでにネット上では話題になっていますが、
Amazon.co.jpが「Amazonポイントの制度変更」のメールを我々出品者に送りつけてきました。
すべての出品商品に1%以上のポイントがつく!でもその費用は・・・
amazonで商売されている方はもうご覧になっているはずですが、
そうでない方のために送られてきたメールから引用いたします。
Amazonでは、日本のお客様のさらなる満足度向上を目指して、2019年5月23日(木)(予定)よりAmazon.co.jpにおけるすべての出品商品の販売価格に対し最低1%のAmazonポイントを付与するようAmazonポイントプログラムを変更いたします。出品者様には、この変更をご考慮のうえ、価格を設定いただけますようお願い申し上げます。
Amazonポイントプログラムにおけるこの度の変更により、Amazon.co.jpにおけるお客様のお買い物体験はより良いものとなります。お客様にはより多くのAmazonポイントを獲得いただけるようになるとともに、頻度の高いお買い物によって節約が可能となります。Amazonにおけるお客様のお買い物体験の向上と出品者様のさらなるビジネスの伸長のために引き続きご理解・ご協力を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。
ここまで読んで、
へえ~すべての商品にポイントがつくんだ。
これまではポイントがつくかつかないか、
それは出品者が勝手に決めていたので、
マーケットプレイスの出品者が出品している商品に
ポイントがつけられているのはあまり見なかった。
私も購入者として頻繁にamazonを使うため、
まあそれはいいんじゃないの・・・と思ったのですが、
よくよく読むと
「出品者様には、この変更をご考慮のうえ、価格を設定いただけますようお願い申し上げます。」
と書いてある。
これはまさか・・・と読み進めると、そのあとに
「主なご質問への回答集」が。
そこには、以下のようなQ&Aが載っていました。
Q1 現在Amazonポイントを利用していません。自分で1%のAmazonポイントを設定しなければなりませんか?
いいえ、2019年5月23日(木)(予定)から2019年6月13日(木)(予定)にかけて自動的にすべての出品商品に対し段階的に1%のAmazonポイントを設定します。また、出品者様ご自身で販売価格とAmazonポイントを変更することも可能です。Amazonポイントの費用(1ポイント=1円)は出品者様の売上高から控除されます。
ええ~?費用は出品者負担なのかよ。
私も含め多くのマーケットプレイス出品者はAmazonポイントを設定していないですが、
設定していない場合は強制的に商品価格の1%のAmazonポイントが設定され、
ポイントの費用は出品者の負担。
つまり、バカ高い販売手数料とは別に、お客様をAmazonに囲い込むためのポイントの費用まで出品者からとろうという話。
たかが1%、という話でないのはちょっと考えればわかりますね。
1000万円の売り上げがある業者なら問答無用で10万円を持っていかれるわけだ。
しかも、それだけの費用を払ったところで、それはAmazonの顧客囲い込みのためには多少は役立つかもしれないが、
自店の売り上げにつながる可能性は限りなく低い。
しかもポイントには有効期限があり(最終利用から1年間)、
たまにしか利用しない顧客のポイントは消滅することになり、
その分はAmazonが丸儲け、出品者は丸損。
実質的には手数料1%値上げ・・・というのと同じですね。
これまでは、さんざん手数料値上げされても
「軒を借りてるんだからしょうがない」と思っていましたが、
この強制ポイント付与は承服できない、という出品者は多いんじゃないでしょうか。
得するのはAmazonだけ
だいたい、1%以上のポイント付与、その費用は出品者もち・・・
なのでは、出品者がポイント付与の費用を価格に転嫁しようとするのは明らか。
お客様としては
ポイント付きだけどちょっと高い、よりも
ポイントはないけど安い、のほうが
絶対に嬉しいはず。
つまりお客様は喜ばない。
出品者はもちろんイイことはない。
ポイント費用を負担したところで自店のリピーターを増やすことにはまずつながらない。
それに、「販売価格の1%」のポイント付与を強制されるのなら、
販売価格を下げて送料をその分上げようとかいう動きもでてくるかも。
どっちにしろお客様にはメリットはないし、
バカ高い送料をつけている出品者が増えたら
Amazonマケプレ自体のイメージが悪くなりそう。
結局はAmazonだけが得をすることになるでしょう。
それはそれで商売としての立派な戦略なんでしょうが、
これは・・・独占禁止法に違反しないのか?
独禁法違反(優越的地位の濫用)では?
Amazonジャパンは昨年、独占禁止法違反の疑いで
公正取引委員会の立ち入り検査を受けています。
上に貼った記事には
アマゾンジャパンは2017年ごろから、商品の納入業者に値引き分の一部を負担するよう求めたほか、販売システムの更新や利便性向上のためとの名目で、取引先に販売額の数%から数十%の負担を求めたとされる。公取委はネット通販で大きなシェアを持つアマゾンによる要請は事実上、取引先が拒否できなかった可能性がある
とあるんですが、
これって今回の強制ポイント付与も同じじゃないですかね。違うんですかね。
要は、値引きの原資を強制的に出品者に払わせるわけでしょう。
ある出品者が付与したポイントはその出品者から購入する場合でしか使えないんならまだしも、
たとえば私が費用を払ったポイントを使ってAmazon本体、もしくはほかの出品者から買い物をする場合がほとんどなわけで、
それでは「(Amazonが行う)値引き分を納入業者(出品者)に負担させる」のと同じでは。
これが「優越的地位の濫用」にあたるかは専門家でないのでわかりませんが、
上に貼ったニュースのような内容で独禁法違反が疑われるのなら、
今回のケースも当然疑われてしかるべきなのでは。
驕っている、と思われても仕方がない
個人でも企業でも同じだと思うんですけど、
成功してしまうとまるで世界を征服したような気持になって
傲慢になってしまうケースは多い。ていうかほとんどそうなりますよね。
まあ、Amazonも含めいわゆるGAFAは
もはや世界を征服しつつある、と言っても過言ではないくらいなわけで、
そういう驕り高ぶりも無理はない・・のかもしれませんが、
日本人はそういう態度の人や企業を嫌う傾向があると思うので、
日本を重要なマーケットと考えているのなら
こういう傲慢な戦術をとるのはすごく危険なことではないでしょうか。
「ここまで我々が巨大、世の中に不可欠な存在になってしまえば、納入業者やマケプレの出品者はどれだけ過酷なことを要求してもなにも言えまい・・・」
と思っているんだろうな、と。
Amazonがそう考えているのならそれは大間違いじゃないでしょうか。
絶対につぶれない、と思われていた企業が放漫経営、経営者がマヌケ、不祥事・・などの理由で
つぶれたり傾いたりした例はいくらでもあるわけで、
それはGAFAといえども可能性はゼロではないでしょう。
ともかく、私自身も消費者としても販売者としてもAmazonにお世話になっている人間。
Amazonが世間に嫌われてしまうのは避けたいし、
もっともっと発展(ただし健全に)してほしいしそれに協力したい・・・
と考えているので記事にした次第です。
ぜひとも強制ポイント付与の件は考え直してほしいけど・・・無理だろうなあ。
それどころか、来年には2%とか3%とか言い出すかも。