「認知症は歩くだけで良くなる」はほんとうか

   

認知症の予防や改善に関連する書籍などがたくさん出ていますね。

以前の記事 「認知症は水で治る」はほんとうか に続く、

それ関係の本のレビューの記事です。

今回は2016年7月刊の長尾和弘著、

「認知症は歩くだけで良くなる」。


amazon.co.jp 認知症は歩くだけで良くなる 認知症予防と改善に最良の方法は「ながら歩き」!

著者の長尾和弘氏は開業医。

末期医療やがんなどについての発言や著書が多い方ですね。

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タイトルは、ちょっと誤解されそう

「認知症は歩くだけで良くなる」というのは

かなりバッサリと言い切ったタイトルで、耳目を集めますね。

こう言われると、巷でいわれている認知症の医療や予防は間違っている、と否定し、

認知症を発症している人でも歩けば治る!と主張している本だと思いそうですが、

そんな極端な内容ではなく、

すでに認知症を発症した人が、歩くだけで治るか?と聞かれれば、「治る」と断言はできませんが、「良くなる」とは自信をもって言えます

とあるように、あくまでも認知症の改善と予防のためには「歩行」がもっとも手軽で効果的であり、

薬を飲む前にまずはそっちをがんばるべきだ、ということを主張する本でした。

歩行が効果的だという理屈

歩行がなぜ認知症にいいのか。

この本で説明されているのは、認知症の原因、もしくは引き金となる

・糖尿病、メタボ

・睡眠の問題

・寝たきり

・脳の血流の障害

・脳の神経細胞の減少

・不安

を、歩くことによって予防、改善できるから、ということ。

 

以下にざっと要約してみます。

糖尿病はアルツハイマー病と密接な関係が

「なぜ認知症の人が増えているのか?」というと、

「糖尿病が増えているから」であって、糖尿病を防ぐことが認知症を防ぐことにつながる。

 

糖尿病と、認知症のなかでいちばん多いアルツハイマー病には深い関係があることが

わかってきていて、糖尿病だと、アルツハイマー病の原因物質である脳内にたまる「アミロイドβ」を

分解する(つまり、掃除する)能力が低下する。

要は、脳にゴミが溜まり放題になり、したがって糖尿病だとアルツハイマー病になりやすい。

 

で、糖尿病は食べ過ぎないことと歩くことで予防、改善できる。

だから歩くことが認知症の予防、改善につながる・・・。

睡眠の質を上げる

「アミロイドβ」は、起きている間に蓄積し、寝ている間に分解される、

ということがわかっている。

だから質の良い睡眠を充分にとることが重要で、そのためには

昼間の活動を多くして、太陽の光を浴びること(体内時計を正常にたもつ)が大事。

つまり、昼間に歩けばよい。

寝たきりになるのを防ぐ

足腰が弱ると、外を歩くのが億劫になり、寝たきりになるリスクが高まる。

寝たきりになれば脳への刺激が少なくなり、認知症が近づいてしまう。

それを防ぐには、歩くこと。

脳の血流を増やす

頭のはたらきを良くするには、脳の血流を増やすことが重要で、

そのためには歩行が有効である。

脳の神経細胞を増やす

歩くなどの運動をすると、「神経栄養因子」と呼ばれる、神経細胞を成長させて新たな神経細胞を

生み出すように促す物質が増える。

神経細胞は何歳になってもあらたにつくられることがわかってきていて、

歩くことにより神経細胞を増やせば、脳内のネットワークが強化され、認知症の予防、改善につながる。

不安をとりのぞく

認知症の人は常に不安を抱えていて、不安なために周辺症状がおこる。

安心を与えることが認知症の改善には重要。

歩くなどの運動をすると、セロトニン(幸福感にかかわるホルモン)が分泌されるので、

不安がやわらぎ、結果、認知症の予防、改善につながる。

 

一定の説得力はある

歩くことが認知症にいい影響を与える理由を多面的に説明していて、

非常にわかりやすい本だなと思いました。

字が大きくて文字数が少ないので、いちいち細かいエビデンス(証拠・根拠)については

あまり言及していないので、そこを不満に思う方もいらっしゃるでしょうが、

あまり小難しい内容になると、ほんとうに読むべき人に読まれなくなってしまう恐れが出てくるわけで、

これくらいが適当なのではないでしょうか。

 

運動すると心地よい疲れを感じて、ストレスがとれ、やる気が増して、よく眠れる・・

というのは誰でも体験することであって、一定の説得力はありますね。

 

歩くのが困難な状態であっても、左右の脚を交互に上げる「座ったままウォーキング」をする、とか、

それもできなければかかとの上げ下げ、足の指をひらいたりとじたりするだけでもいい・・

というのはなかなか参考になりました。

 

私の母はもうそれすらも自分の意志ではできなくなりましたが、

私につかまって(というかよりかからせて)ヨチヨチ歩く、という運動は

面会に行くたびにさせています。機嫌が悪い日はいやがるのでできません。

ここまでくると運動させたくても無理なわけで、

やはりこうなる前に、というか若いうちから、歩行をはじめとする運動を習慣化することが

重要なんだな・・と認識しなおした次第です。

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