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平成29年大相撲春場所の感想

新横綱・稀勢の里の逆転優勝で幕を閉じた大相撲春場所。

ケガをおしての強行出場を「よくやった」と評価する声が多いようです。

しかし、個人的にはすっごく後味が悪い優勝だな、と感じました。

照ノ富士の立ち合い変化

14日目、1敗をキープし優勝戦線にいた照ノ富士が、

大関復帰のためにはもう一つも負けられない状況に追いつめられた琴奨菊と対戦。

この状況で照ノ富士がまさかの立ち合い変化で勝利。

 

これは私もびっくりしたんですけど、どうやら前日の鶴竜戦で

膝がまた悪くなってしまったようです。

それまでの相撲ぶりから、もう完治したのかな、と思っていたんですが。

それで、勝ちたい気持ちと、気合十分の琴奨菊をみて変化を決意したみたいです。

 

立ち合いの変化についてはいつも賛否が侃々諤々になりますね。

これについては否定派も肯定派も間違ってはいないと思うので、

ここではその是非は論じませんが、

この状況で変立ち合い変化するのなら、批判されてしかるべきだし、

批判されるのを覚悟のうえでやるべきでしょう

(どうやら照ノ富士は批判は承知の上だったようです)。

 

相手はいまとなっては格下の関脇と、お客からみるかぎり絶好調の大関の対戦。

しかも、関脇は大関復帰へ向けてひとつも負けられず、死ぬ気で気合を入れている。

ここで正々堂々と正面から行かないというのは、

(語弊があるかもしれないが)日本人の感覚でいえば許せないことなわけで、

外国人力士はそのへんがなかなか理解できないんじゃないか。

 

1992年の夏の甲子園で、明徳義塾が星稜高校の松井秀樹を全打席敬遠したことがありましたね。

あのときの投手だった河野和洋氏は、いまだに「松井を5打席連続敬遠した時の投手」

という形容で言われるのですよ。しかも松井は「超」をいくつつけても足らないくらいの

絶対的強打者で、勝つためにはしょうがない選択だっただろうにもかかわらずです。

 

宮本武蔵が佐々木小次郎との決闘にわざと遅れて行った、という話もそうです。

これについては吉川英治の創作らしいですが、わざと遅れた宮本武蔵が卑怯、

みたいな言い方をされることが多い。

負ければ死ぬ勝負なわけで、卑怯もへったくれもないはずなのにもかかわらず、です。

これほどまでに日本人は「正々堂々」を重んじるのです。

 

それを理解していれば、立ち合いの変化で勝ち星を得たとしても、

ひとつの勝ち星と引き換えに失うものの大きさに、

思いが至るんじゃないかと思うのです。

 

私は今回の照ノ富士の変化については否定はしません

(琴奨菊をみて、落ちそうだと思ったんだろうし、千秋楽の相撲ぶりをみても

よほど膝が悪かったんだろうと思われる)が、

がっかりしたのは確かです。今後しばらくは、

「照ノ富士はそういう力士」という目でみることになりますね。

稀勢の里のケガと強行出場、そして千秋楽の相撲

で、千秋楽。稀勢の里は前日の鶴竜戦で、見るからにケガが悪そうな

相撲をみせ、誰もが照ノ富士の優勝と思っていたでしょう。

しかしまさかまさかの稀勢の里の逆転優勝。

 

たしかに、ケガをしても「どこそこが痛い」とか某大横綱みたいにベラベラ言わなかったのは

さすがだし、痛くても出場したのも立派だったとは思います。

しかし、千秋楽、とくに本割の相撲は、

みられたもんじゃなかったと思ったのは私だけではないでしょう。

マスコミはなぜ、「こんな相撲とるなら休むべきだった」と言わないのか。

 

左をかばいつつ変化気味のふわっとした立ち合い。

いやいやいや、照ノ富士にブーイングするならこれも批判しなきゃだめだろ。

ケガしてるからしょうがない、というなら照ノ富士だって同じだったはず。

 

照ノ富士は膝が痛いのか、前日の立ち合い変化でいろいろ言われたからなのか、

元気がなかった。眉毛が吊り上がるあの闘志まるだしの表情もなかった。

プレッシャーや場内の雰囲気にやられたわけではないでしょうが、

稀勢の里が2連勝したのは、ただ照ノ富士に元気がなかったからじゃないか。

照ノ富士は意外とやさしいんですね。相手の痛いところがわかってるんだから、朝青龍じゃないが

そこを狙えばよかったのに。稀勢の里も出るからにはそれくらいのことされても文句は言えないし、

出るからには横綱が大関相手に変化とかしちゃいけないんじゃないのか。

 

15日間トータルでは、稀勢の里はたしかにすばらしかったと思いますけど、

なんとなく後味が悪かった。締まらない終わり方でした。

ケガを直して、来場所も頑張ってほしいです。

余計なことを言いすぎな力士が多い

まあでも、今場所一番「ダメだこいつは」と思ったのは日馬富士。

14日目に玉鷲に負けたときのコメントが

「(照ノ富士への)ブーイングにやられた。あれで集中力が途切れた」だって。

 

いやいやいや、格下に負けたのを客のせいにするってのはどうなの。

たしかにブーイングはひどかった。「勝負しろ」や「逃げんな」とかならまだしも、

「モンゴルへ帰れ」とかは言い過ぎ。

でも、それを自分が負けた言い訳にしますかね。

ふだん日馬富士は「お客さんが湧くような激しい相撲をとらなきゃ」と言っているわけで、

そう考えるならブーイング喰らうようなことをした照ノ富士が悪いんじゃないか。

そんなもんで集中力がとぎれるんなら何が集中だよ、という感じ。

 

仮にブーイングのせいで負けたとしても、黙ってればいいのに。

なぜいちいち言わないと気が済まないのか。記者に訊かれるからか。

稀勢の里や豪栄道なら、「ブーイングが影響した?」と訊かれても、

仮に本当は影響していたとしても、「関係ない」と言うでしょう。

 

ブーイングをなんとかしてほしいと思うなら親方や理事長に言って、

そっちになんとかしてもらえばよい。力士本人がなんだかんだ言うべきことではないと思います。

 

ほかにも余計なことをしゃべる力士がけっこういて、なんか嫌だなあと感じました。

御嶽海なんか、稀勢の里戦で負けといて「かなわない相手じゃないと感じた」とか言ってたし。

稀勢の里は横綱になったんだから、下の力士たちに

「ベラベラしゃべるな」くらい言ってもいいのでは。

高安の大関獲りに期待

ほかにも高安や宇良について言及したかったですが、

千秋楽が残念すぎてそっちの話ばかりになりました。

高安はすばらしかったですね。来場所は大関獲りの場所となり、

プレッシャーやケガにやられなければかなり期待できそうです。

 

今場所勝ち越し、みるたびに体がデカくなってる宇良にも期待。

こちらも高確率で数場所後には上位に定着しそうですね。

 

来場所は国技館へ行きたいと思ってます。やめるかもしれませんけど。

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