ここのところ、テレビをみていると
ブリティシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BAT)の
CMをよく目にします。
JT(日本たばこ産業)もよくテレビCMを流していますね。
今回はこれについて思うところを書いておきます。
加熱タバコを普及させる、そのこと自体はどんどんやるべきだが・・・
件のBATのテレビCM。
「吸う人と、吸わない人が一緒に楽しめる。そんなタバコの未来をつくりたい」。
その秘密を知りたい方は・・・ということで
https://enjoytogether.jp/というサイトをみるように誘導されます。
そのサイトは同社の加熱タバコ「glo」のサイト。
つまり、「吸う人と、吸わない人が、一緒に楽しめるタバコの未来」のために、
gloを買ってください、というCM。
このブログではタバコについて何度か書いていまして、
私自身はタバコが大嫌い、吸うのは個人の自由だからいっこうにかまわないけれども、
臭くて汚いし副流煙を吸わされると喉が痛くなるから私の傍で吸うな、というスタンスです。
しかし、臭さや汚さが軽減され、副流煙が出ない加熱式タバコであれば、
別に傍で吸われても気にならない。
加熱式タバコは健康被害が軽減されることが証明されてない、とか言う話も出ますが、
体に悪いことを承知で吸っている人間の健康など知ったことではないし、
周りの人もとりあえず「臭くて汚い」という迷惑を被ることによるストレスが軽減されるので、
そういう意味で少なくとも紙巻きたばこよりは健康被害は少ないのは確実。
だから加熱式タバコを普及させることには大賛成であり、
「吸う人も、吸わない人も、一緒に・・・」
という社会を実現させるために加熱式タバコを売りたい、
というこのCMの主旨には賛同できます。
しかし、こんなCMを流しているうちは、
受動喫煙防止問題は永遠に前に進まず、
「吸う人も、吸わない人も」という社会は絶対に実現できないでしょう。
CMが美しすぎることに違和感
以下に貼ったのはけっこう前に流れていたJTのCM。
さらに、JTのサイトの、
の動画。
さっきのBATのCMもそうだけど、まあとにかく美しいイメージを強調したものばかり。
しかも、タバコ企業のCMであるにもかかわらず、
タバコの姿は一瞬たりともみることはない
(このあたりはぱちんこホールやぱちんこメーカーのCMも同じですね)。
私は、喫煙というものを美化するこういったイメージ戦略は、
受動喫煙問題をいっそう難しくするのではないか、と思うのです。
JTのCMソングの「ひといきつきながら、ひとはひとをおもう」
という美しい歌詞。
これをタバコ企業がCMソングとして使うと、
いかにも「タバコでひといきつく時間は人にとってなくてはならない美しく貴重な時間である」
というイメージを植え付けられるようで、なんか
「副流煙が臭い?それくらいはガマンするべきじゃあないの?だって、『ひといきつく』ことで、人は幸せを感じるんだから。それを『臭い、汚い』だのいうのは、ただあなたの寛容さが足りないだけじゃあないの?」
と言われているような気持になるのですよ。
そして、喫煙する人は、これほど美しく人生に必要不可欠な喫煙という行為をする場所が
狭められていく現状を理不尽と感じ、
非喫煙者の寛容さが足りないから自分たちが迫害されるんだ、
という被害妄想をますます強く感じる・・・のではないか。
喫煙場所を制限されることが理不尽、と感じれば、
非喫煙者の気持ちを慮ることはないし、
喫煙マナーについて突き詰めて考えることはないでしょう。
だって、喫煙は人生に必要不可欠な美しい「ひとのとき」なんだから。
喫煙者の喫煙マナーを向上させ、
加熱式タバコの普及を進め、
「吸う人と、吸わない人が一緒に・・・」
という社会にするためには、
副流煙の出るタバコを公共の場で吸うことは
徹底的に迷惑なことである、という意識を
もっと浸透させることが必要でしょう。
タバコがいかに嫌われているか、迷惑なものであるか、を徹底的に真正面から描くCMを流せ
他人にとって迷惑なこと、と思ってないから、
他人の前でも平気でバカバカ吸えるわけだ。
仮に迷惑なことだと知っていても、
どれだけ他人が理不尽なガマンを強いられているかを想像できないから、
「それくれえガマンしろよ」、と思うわけだ。
CMで、喫煙の害、迷惑を徹底的に描けばいいのです。
さきのBATのCMだって、もっとストレートに、
登場人物のうちのひとりが紙巻きタバコを吸い始めた途端に場の雰囲気が悪くなり
みんなが鼻をつまむ姿を描き、こうならないためにはgloを・・・とやればいいじゃないか。
さっき貼ったJTのサイトの「ひとの、ときを想う」の動画も、
こどもを囲んで楽しく食事をする家族が描かれてますけど、
ここでお父さんがタバコに火をつける姿をなぜ描かないのか。
ウソで塗り固められた、虚構のCM。
お父さんがタバコに火をつけ、こどもが
入れ歯洗浄剤のCMみたいに「おとうさんおくちくさ~い」と嫌がり、
一家だんらんが台無しになる様子を描けばいいのです。
そして、こどもが「タバコを吸うおとうさんは大嫌い。でもタバコを吸ってないときのおとうさんは大好き。だからやめてもらいたい。でも言えない・・・」
と真剣に悩む姿を描けばよい。
初老の夫婦が登場するシーンも、奥さんが病院で「末期の肺がん」と言われ、
それはダンナさんの吸うタバコの副流煙が原因であることがわかり、
長年にわたって副流煙を奥さんに吸わせたことを死ぬほど後悔して苦悩する姿をみせればよいのです。
それを描かないから、自民党の某国会議員のように、
家族がどれだけガマンしているかに気付かず
「うちの家族は誰も文句を言わない」とかぬかしちゃう人ばっかりになるのです。
美しいCMで企業イメージを向上させているつもりでしょうが、
いまとなっては世の中の多くを占める非喫煙者の大部分は
「気持ち悪い」「嘘つき」と感じてしまい、
結局は企業イメージも悪くなるでしょう。
正直に、「タバコはこんなに迷惑なもの。だから、加熱式タバコを」
というCMにすればいいのに。
公共の場での喫煙は迷惑行為、という意識が徹底的に浸透すれば、
喫煙者のマナーは向上、加熱式タバコがもっと普及し、
そうなれば世の中も「ちょっとくらいの煙はガマンするべきだ」
という流れにもなるかもしれない。
ともかく、喫煙人口がもっと減るか(これは確実に避けられない流れなので、そうなるでしょう)、
加熱式タバコの普及を願いたい。
受動喫煙防止対策において加熱式タバコをどう取り扱うかは
議論されているところですが、ここは加熱式タバコは(とりあえず)対象外にし、
加熱式タバコには大幅な減税を実施し、
その普及を後押しするべきだと思っています。