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大相撲:「連敗横綱」よりも「職務放棄横綱」を問題にせよ

大相撲九州場所が開催中ですね。

日本相撲協会の内部や周辺は、

とにかくドロドログダグダな出来事ばかりが続いていて、

公益財団法人として存続していること自体が不思議、というか許されないことなのでは・・・

と思っていまして、テレビで大相撲のニュースをみると

「まだ相撲協会存続してんの?たいしたもんだ」としか思えないのです。

私も一昔前には「大相撲ファンです」と公言していましたが、

いまは完全に幻滅、興味は全然ないです。

 

熱烈なファンだった私が大相撲に興味を失ったのは、

どっからどうみても茶番にしかみえない、力の抜けた相撲しかみられなくなったから、

というのが一番大きい。

そこにはさまざまな原因がありますが、ひとつには

いちばん強いと認定された力士、「横綱」という地位のありかたの問題があると思っています。

横綱稀勢の里が初日から4連敗のすえに休場

九州場所は3人いる横綱のうち白鵬と鶴竜が全休、

さらに、「ひとり横綱」となった稀勢の里は初日から4連敗で5日目から休場、

という、どうしようもない事態になっています。

 

稀勢の里の4連敗、というのがそれはもうヒドイ内容で、

素人目でみても

「負けるべくして負けた」ことがわかりましたね。

相手は「左を差されたらヤバい」、と思って離れてとろうとしているのに、

稀勢の里は一つ覚えのように「左を差したい、差したい」とそれを狙いに行くだけ。

手の内を見透かされてる、というのはもう明らか。

 

ここで白鵬のようにずるがしこい器用さがあれば、

稽古では手を抜いて相手に手の内をみせないようにするとか、

離れてとろうとするのならそれを逆手に取る作戦を考えるとか、

たまには横に飛んでみるとか、前もって付け人にカネをもたせて話をつけに行かせるとか、

とにかく勝つためにいろいろ頭を使うところなんでしょうが、

稀勢の里にはそういうずるがしこさ、器用さはないんでしょう。

 

それはそれとしても弱いなあ、というのは確か。

批判されてもしょうがない、とは思うんですけど、

私としては

「4連敗くらいでギャアギャア騒ぐな」

というのが正直なところです。

 

横綱がちょっと負けが込むとすぐにファンもメディアも横審もなんだかんだ騒ぎ、

「引退か?」「進退をかける」とかいう話になるから、

モンゴル人横綱たちが八百長クサい相撲を繰り広げることになり、

大相撲が茶番に貶められているのに。

たしかに内容は悪かったが、数字だけで考えてみると「4連敗」はそんなにヒドイのか

八百長横綱の数字は参考にならないので、

たとえば貴乃花の成績を調べてみると、

横綱在位時の勝率は81.3%だったらしいです。

 

曙だの武蔵丸だの武双山だのといった化け物たちを相手にして、

すべてがガチだった(らしい)とするなら、

もうこれは驚異的な数字。さすがは平成の大横綱。

しかし、勝率81.3%という大横綱でも、

ケガで苦しんでいたときには8勝7敗とかで終わったこともあるのですよ。

 

だいたい、ざっくり80%と考えても、1/5は負ける、ということになるわけで、

1/5の確率で起きることがが4回続く、なんてのは確率的に言ってべつに珍しくもなんともないこと

じゃないのか(パチスロで言えば、1/5のリプレイやベルが4連続するなんて、いくらでも体験することでしょう)。

そもそも稀勢の里のこれまでの勝率はそんなに高くないし。

 

なので、稀勢の里の場合はたしかに内容が最悪であったけれども、

「4連敗!4連敗!」なんて大騒ぎするのはナンセンスだと思うのですよ。

そのあと11連勝するかもしれないじゃないか。

15日間とって3勝12敗とかで終わるなら、そりゃあ

「弱い横綱は引退しろ」という話になってもしかたがないけれど、

4連敗したぐらいでなにをギャアギャア騒ぐのか・・・と。

皆勤して負け越した横綱だっているんだから、終わってから騒げばいいのに。

 

「勝負は時の運」という言葉があるように、

どれだけ実力があろうとも負けが込むときは必ずあるはずなのです。

ないほうがおかしい。

しかし、それを理解できない、不運によって負けが込むということを許さない

マスコミや横審やファンがいっぱいいるから、

ごくまれな例外を除いたこれまでの横綱は

星を買ったり、もしくはちょっと負けたらすぐに休場することで

「引退しろ」と言われることを回避してきた。

 

「横綱の初日から4連敗は87年ぶり」なんてのは、

いままでの横綱は4連敗する前に休場して逃げただけなんだろ、

という話で、ちょっと負ければとってつけたような理由をつけて休場、

逃げてしまうほうがよっぽど問題じゃないでしょうか。

すぐに自己都合で職務放棄するくせに、「横綱の責任を果たす」などとぬかすのは恥ずかしい

休んでも番付が下がらない、という横綱の特権。

それがあるからといって、軽々しく休場したくない、というのが

稀勢の里の考えだったんでしょう。

 

だから4日目まで出場した。おそらく、休場の理由としているケガも、

実はそんなにたいしたことないのでしょう(この点は間違いなく白鵬や鶴竜も同じでしょうね。)。

5日目に休場に踏み切ったのは、

「これ以上負けたら引退引退と騒がれる」ということで周りが休場するように説得したのかも。

 

しかし私は、稀勢の里が休場という選択をしたことで心底ガッカリしました。

休んでも給料と地位の保証がされるという横綱の特権(この特権自体がおかしいと思いますけど、それはまた別の機会に)を、

フル活用しなければ損、とばかりに休むモンゴル横綱たち。

白鵬ならおそらく「勝つことが横綱の責任だから、万全の状態でなければ出ない」

と言い訳するでしょうが、それがすでに勘違い、客をなめているということをわかってくれないものでしょうか。

客は横綱が安全相撲で勝つところをみたいわけではなく、

男と男が命がけでぶつかり合うところがみたいだけ(少なくとも私はそう)。

べつに誰が勝とうが負けようがそんなことはただの結果にすぎないわけで

(横審ですらその「結果」しかみてない、というのも問題)、

「勝つことが横綱の責任、品格」などというのはつまり自惚れ(みんなが自分が勝つことを期待してる、と思い込んでいる)、思い上がりなのだということを理解するべきだ。

 

それともかく、

稀勢の里は、「横綱の責任」などと言いながらすぐに職務放棄する彼らモンゴル横綱とは

一線を画した存在である、ということを、どれだけ泥を噛もうとも身をもって示すべきだった。

4連敗したあげく、とってつけたような理由で休場、逃げる、という選択をしたおかげで、

稀勢の里もモンゴル横綱と同じレベルに堕ちた。

 

横綱大乃国(現芝田山親方)は、1989年9月場所、4日目までで1勝3敗、

結局7勝8敗で終わり、15日制では前例のない横綱が皆勤しての負け越し、

というのをやっています。

このときもケガなどの体調不良からなかなか復活できないころだったのですが、

大乃国はどれだけの汚辱にまみれようとも千秋楽まで土俵にあがった。

 

「横綱の責任」とはこういうことじゃないのか。

相撲を志すこどもたちに、

「勝てそうにないなら逃げる」姿をみせるのではなく、

「最後まであきらめない」姿をみせるのが

「責任」なんじゃないのか。

 

たいしたケガもしてないくせに休場、というのは

そういう意味でものすごく罪深いことではないでしょうか。

「連敗」などというのはしょうがない。長くやっていればそういうことも必ずあるんだし、「勝負は時の運」だから。

「連敗」横綱よりも、すぐに休場して「職務放棄」する横綱のほうがよっぽど責められるべきで、

白鵬も鶴竜も稀勢の里もその点をもっとボロカスに批判されるのが当然なのでは。

 

もう立ち上げれないくらいのケガをしてる、というのならまた話は別ですが、

どうみても稀勢の里(おそらくは白鵬も鶴竜も)どうもそうではないっぽい。

これ以上負けたらヤバいから、ということで休場した、というのは誰もが感じるところでしょう。

 

モンゴル人横綱とは違う、正々堂々とした横綱を応援していた

まともな相撲ファンは、これでどんどん相撲から離れていくでしょう。

そして、横審の委員みたいに「横綱たるもの2敗、せいぜい3敗でしょう」

などとぬかすような、新聞の星取表だけをみてヤイノヤイノ言うような人たちだけが相撲を見続けるんでしょう。

 

力士はそういう人たちに認めてもらうために、今後も八百長をやるでしょう。

横綱であっても、勝つためには変化したり猫だまししたりするでしょう。

当たり前です。みているのは、とにかく勝てばいいと思っている人ばっかりなんだから。

大相撲の崩壊は近い・・ていうかすでにしてるか。

というわけで、稀勢の里はバカなことをしたなあ、と。

どうせケガはたいしたことないんだから、最後までやるべきだった。

男を下げた、とはこういうことを言うのでしょう。

 

40回も優勝するという実績を残しながら

土俵の下で判定に不服でダダをこねるという前代未聞のバカをやらかした

横綱はここ数年は男を下げまくりですけどね。

そっちは男を下げた、というより「メッキが剥がれた」というのがふさわしいか。

連敗よりもあの「物言い」のほうが万死に値する、と考える

まともな相撲ファンはもういないんでしょうか。

 

すぐに逃げる横綱は全員はやくクビにすることが、

大相撲が生き残るためにやるべきことのひとつなのでは。

それと、すぐ逃げるような横綱が存在しえない、という制度に変えること。

バカにされ続け、なめられ続けてもカネを出し続けてくれるような

寛大なファンばかりではないことを、相撲協会は知るべきでしょう。

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