2月7日のNHK「うたコン」。
この前ふり部分は放映前に書いています。
今回のNHK「うたコン」は拡大版、「昭和歌謡の巨人 阿久悠 大ヒット曲SP」。
誰かのトリビュートをやるときはキチンと時間を取ってやってほしい、といつも書いてるんですけど、
今回はどうなんでしょうか。放映日がちょうど阿久悠の生誕80年となります。
出演予定者は石野真子,市川由紀乃,稲垣潤一,岩崎宏美,大竹しのぶ,柏木由紀,北原ミレイ,北山たけし,堺正章,ささきいさお,瀬口侑希,西田敏行,氷川きよし,三浦大知,三山ひろし,山本彩,渡辺麻友。
阿久悠といえばもう並ぶものはいない超のつく大作詞家。
ヒット曲はあまりにも膨大にありすぎるわけですが、出演メンバーをみて
「ああ、あの曲をやるんだろうな」というのが直観でたくさん思いついてしまうところが、
阿久悠の作詞した曲がいかにたくさんあって、しかも人口に膾炙しているかがわかります。
その偉大さを紹介するにはたったの1回の放送では時間が足らなすぎる、
まさに歌謡界の巨人なわけですが、はたしてどんな内容になるのか。
名曲が目白押しでおなかいっぱい
今回の曲目は以下の通りでした。
「もしもピアノが弾けたなら」・・・西田敏行
「街の灯り」・・・・・・・・・・・堺正章
「北の宿から」・・・・・・・・・・市川由紀乃
「さらば涙と言おう」・・・・・・・三山ひろし
「時の過ぎゆくままに」・・・・・・三浦大知
「ブーメランストリート」・・・・・氷川きよし
「The Rose」・・・・・・・・・・・大竹しのぶ
「過ち」・・・・・・・・・・・・・稲垣潤一&山本彩
「宇宙戦艦ヤマト」・・・・・・・・ささきいさお
「ざんげの値打ちもない」・・・・・北原ミレイ
「UFO」~「サウスポー」・・・・・柏木由紀&渡辺麻友
「狼なんか怖くない」・・・・・・・石野真子
「ロマンス」~「シンデレラ・ハネムーン」・・岩崎宏美
「EXCITE」・・・・・・・・・・・・三浦大知
「津軽の春」・・・・・・・・・・・瀬口侑希
「霧笛の酒場」・・・・・・・・・・北山たけし
阿久悠特集は名曲揃いでもうおなかいっぱい。これでもごくごく一部なんだから天才すぎですね。
アニメソングにも超名曲が多数
私の世代だと(昭和50年代に小中学生)、子どものころに好きだったり歌ったりした曲を
思い出して作詞者を調べてみると、これも阿久悠、あれも阿久悠、こっちも阿久悠なのかよ!
というくらいで、当時はそんなことはわからなかったけれども、
大人になってからその偉大さがわかりますね。
今回ささきいさおが歌った「宇宙戦艦ヤマト」は、小学校にも入ってなかった私でも
一発で覚えたインパクト絶大の名曲。
イントロの勇壮さと、ささきのカッコいい低音のバックに流れる「ア~」というスキャットが
異常に素敵。このスキャットを担当していたのは声楽家の川島かず子で、
「無限に広がる大宇宙」(遊星爆弾が地球に落ちていくときとかに流れたスキャットだけの曲)
も素晴らしかった。
実は「ヤマト」のストーリーはあまり好きじゃなかった
(沖田艦長の凄いヒゲと、ズォーダー大帝のヘンな髪型だけが猛烈に印象に残った)
んですけど、曲の素晴らしさは幼児だった私の心にもグサグサ突き刺さってきました。
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余談ですが永井豪の「デビルマン」のOP曲「デビルマンのうた」、
ED曲「今日もどこかでデビルマン」も阿久悠の作詞。
「デビルマンのうた」は、間違いなくアニメソングにおける史上最高傑作と思ってます。
一度聴いたら必ず覚えてしまうフック満載の歌詞はもちろん、
衝撃的なイントロ(テレビサイズはちょっと短くなっている)、
哀愁を漂わせつつも力強いメロディ、ぶ厚くカッコいいバックコーラスなど、
もう非の打ちどころのない完璧な曲でした。大人になって聴くとますますその凄さに痺れます。
こんな素晴らしい曲がアニメの曲としてつくられてしまうんだから、
40年以上前から日本のアニメはすでに世界一だった、と言えると思いますね。
ピンク・レディーの曲は「キャッチーな曲」のお手本。
柏木由紀と渡辺麻友がピンク・レディーの曲に挑戦。
失礼ながらあまり期待してなかったのですが、予想していたより悪くなかったと思います。
それにしても、ピンク・レディーの曲は歌詞も曲も恐ろしいまでにキャッチーで、
アイドルといえどもやはり曲が大事なんだなと思い知らされます。
振付のインパクト(私もマネして踊っていた)でヒットしたように思われがちですが、
いま聴いても曲そのものが素晴らしい。
しかもあれだけ激しい振付けと同時に口パクなどなしで歌っていたんだから、
ピンク・レディーはまさに恐るべき「モンスター」アイドルだったと思いますね。
阿久悠がピンク・レディーを育てたように、秋元康はなんとか48をたくさん育てている
わけですが、秋元康が阿久悠を超えるためには、こういう素晴らしい曲を書ける
作曲家と組まなきゃあな、と感じます。
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人生の絶望を叩きつけられる暗く重い歌詞
今回、北原ミレイが「ざんげの値打ちもない」を「完全な歌詞」で歌いました。
この「幻の四番」は、たしか数年前にも「歌謡コンサート」で歌っていたと記憶しています。
四番を聴けば、「細いナイフを光らせて にくい男を待っていた」結果、
どうなってしまったのかがわかるわけです。
たしかに四番はあまりにも陰惨な歌詞ではあるけれど、
あるのとないのとでは味わいがまったく違ってきますね。凄い歌詞です。
阿久悠作詞の北原ミレイの曲はほかにもあって、
「棄てるものがあるうちはいい」とか、「何も死ぬことはないだろうに」とか、
いまの感覚からすれば信じられないくらいダークで陰鬱な歌詞と曲名。
ポジティブ、前向きであることが美徳とされている平成の世では絶対に受け入れられなそうですが、
どこまでも前向きな曲を聴くとむず痒いような居心地の悪さをおぼえたり、
どこまでも前向きな人と付き合うと疲れるので友達になりたくない私のようなネガティブ人間には、
こういう曲を書いたり歌ったりする人が必要なのです。
1年後もまたやってほしい
文句なしの名曲が並んだこともあり、今回は大満足な内容でした!
石野真子は相変わらず美人だし。
もう、毎年この時期には阿久悠生誕SPをやってほしいですね。
たった1回の放送では網羅しきれない。
来週もレビューする予定です。