本ページのリンクには広告が含まれています 特別養護老人ホーム 認知症・介護 認知症の進行をふりかえってみる

認知症の母:スプーンでの食事が困難に。

新型コロナウイルス。ついに日本でも「どこでどう感染したのかわからない」感染者が増えてきました。

もう、感染源や経路を追及したりするのは意味ないという段階にさしかかってきたようです。

私の母が入居している特別養護老人ホームでも、入り口には「体調の悪い方は面会をご遠慮ください」みたいな文言を書いたデカい看板が(これまでもそうだったんだけど、ことさらに大きく目立つように)設置されたりしています。

新型コロナウィルスは高齢者や病気のある人が感染すると大事に至りやすいとのことで、すると特養みたいなところは万が一ウィルスが入り込んでしまったらたいへんなことになるわけだ。

私自身が感染するのもちょっと怖いけれども、母やほかの入居者さんたちに移してしまうのが最も怖い。すると便所でも手を洗わないような人間がたくさんいるパチ屋みたいなところには行ってはいけないのかも・・しかしそれでは私は飢え死になわけで、とにかく早く終息してほしい。

それはそれとして、今回は認知症を患う私の母の状態を記録しておく記事。ぱちんこには関係ありません。

口を開けてくれなくなる

前の記事で、原因不明の発熱を繰り返したのち、回復したものの体力や身体機能の衰えが顕著になったことを書きました。

認知症の母:入院を断る。

以前はなにかにつかまって立つことはかろうじてできていましたが、いまはそれもできなくなりました。車いすに座っていても姿勢をまっすぐに保つことができない。

そのへんもみていてすごくつらいんですけど、もっと深刻な状況も出来してきました。

 

これまでは「きざみ食」(通常の食事を細かくきざんだもの)をスプーンで食べさせてもらっていました。

しかし、「きざみ食」では飲み込むときにむせてしまうようになり、ペースト状やムース状にした食事をスプーンで食べさせることに。

 

それも気の毒なことなんですけど、さらに「スプーンで食べる」ことすらも難しくなってきました。

これまでは食事の時、スプーンを口に近づけると口を開けてくれて、スプーンを差し込むと食べ物を受け入れてモグモグしてくれていたのです。

スプーンが口に触れる→食べるものだ、と認識する(?)→口を開ける→モグモグして飲み込む・・という流れで、食事ができていた。

しかしここ最近はそれもできなくなってきました。お食事ですよ~と声をかけながらスプーンを口に近づけ口を開けるように促しても、口を開けてくれることが少なくなりました。

 

日によっては口が開くし、ひょっとしてただ単に食欲がないだけ・・なのかもしれませんが、それもそうなのかどうか本人の気持ちが確認できない。

飲み込むこと自体ができないとなればまた違った対応をしなければならないんでしょうけど、どうもそうではないらしい。口に入ればモグモグしてゴクンと飲み込む。

後述するように私も何度か面会に行ったときに食事の介助をやったのですが、とにかくなかなか口を開けてくれない。開けるときは開けるけれど、それを待っていると途方もない時間がかかる。これでは介助するほうは大変だし、あまりに長時間の食事は本人も疲れてしまうでしょう。

シリンジによる食事介助の許可を求められる

そこで職員さんから、「こういうものがあるんですが・・・」と見せられたのが、プラスチック製の注射器のようなもの。いわゆる「シリンジ」というやつ。

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↑こんな感じのもの。これを使って口に食物や薬を流し込む。

私はこういう方法があることを知らなかった。きけば私の母のように口を開けてくれない人は多いそうで、許可してくれるなら使わせてもらいたいという話でした。消耗品なので月に数千円かかるという話もされました。

 

一瞬、これで食べるのかあ。ただでさえ美味しくなさそうなペースト食なのに。ちょっとかわいそうだなあ・・・と思いました。

しかし、なにしろ食べてくれないと体力が回復できないし、薬も飲めないのではどうしようもない。

これがイヤなら、では点滴で・・・とか、では胃瘻で・・ということになるわけで、そうなるよりはとりあえず口から食べられたほうがいい。

体調がいいときは口を開けてくれることもあるので、そういうときはできるだけスプーンでという方向でやってくれるとのことだったので、「わかりました。ではやむを得ないときには使ってください」と答えました。

自分でやってみた

で、何度か食事時に面会に行ったときに、シリンジでの食事介助をやってみました。

最初はスプーンであげようと試みるんですけどね、どうしても口が開かない・・というときにはシリンジにペースト食をちょこっと吸い込ませてから母の口の隙間から差し入れ、ピストンを静かに押します。

すると口をモグモグしながらちゃんと飲み込んでくれるのです。

口にモノが入ってきた→反射的に口が動いて飲み込む・・というかんじ。

注射器で口に食べ物を流し込むという食事は、まあ普通の感覚なら「かわいそう」となるんでしょう。私もそうでしたが、その違和感よりも「きちんと食べてくれる。飲み込んでくれる」ということに対する喜びのほうがハッキリ言って大きかった。食べてくれて嬉しくなりました。

ひとつ気になることは、スプーンでやるよりもシリンジで介助したほうが圧倒的に食事を早く済ますことができるので、「できるだけスプーンで」と言いつつ結局はシリンジでの食事が当たり前になっていかないか・・ということですね。

しかし自分でやってみて、「これではシリンジ中心になっても仕方がない」と思いました。どう声をかけようがなにしろ口が開かないんだもん。

本人がどう感じているかはわかりませんが・・・きちんと食べて体力をつければまたスプーンで食べられる状態に戻れるかもしれない、と思えば、とりあえず今は仕方がない、と思うことにしています。

 

というわけで、ついにここまで来たか・・ということに。このブログをはじめたころには自分で箸と茶碗をもって食べていたのになあ。ありとあらゆることがいつのまにかできなくなっていく。これが認知症。

さらに機能が衰えればいずれは「飲み込めなくなる」という事態が訪れるんでしょう。

そのときには重い決断を迫られることになります。

関連記事→認知症の母:いつか口から食べられなくなるときが来るのか

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