コロナ長期化にともない、住民税非課税世帯に10万円が給付されることになった「臨時特別給付金」。
私の母は住所が特別養護老人ホームで住民税非課税、10万円もらえると思ってたら私の扶養に入っているため支給の対象とはならず残念。給付とか面倒くさくてお金のかかることしないで減税にすればいいのになあ。
その「臨時特別給付金」、1世帯あたり10万円が配られるはずが、山口県の阿武町では間違って1世帯に4,630万円振り込んじゃったらしい。自公政権の「ちゃんと仕事してます!選挙ではヨロシク!」というイヤラしいアピールのバラマキのために面倒くさい仕事が増えちゃって負担になっただろうから、こんな間違いも起こることもひょっとしてほかの自治体でもあったんじゃないか。
まあ仮に間違って支給してしまったとしても、相手がフツーの人であれば「間違っちゃったので返してください。スミマセン」で済む話。しかし今回は相手が悪かった。誤給付を受けた24歳の男性は返還を拒否し、「ネットカジノで全部使った」と。そして「誤給付と知りながら使った」として逮捕されるという事態に至りました。
「役場使えねえなあ」「容疑者は馬鹿だなあ」「バラマキを考えた政府が町民に謝れや」で済ませてもいいんですけど、気になるのは「ネットカジノで使った」という点。そこについて思うところをちょっと書いておきます。
ギャンブル依存症問題に関する議論が盛り上がるのが心配
この件に関して「役場だって悪いんだから被害者ヅラすんな」という論調もみられるようです。
しかしそれはおかしいですよね。今回の件で役場が悪いというのなら、それはたとえばお金を誰かの目の前に落とした→拾われた→落とした瞬間に気づいてすぐに「私のです。返してください」と言った→「返さない。俺の目の前に落として射幸心を煽ったお前が悪い」って言ってネコババ、っていうのを肯定し、カネを落とすほうが悪い、っていうようなもの。
すぐに返せばそれで終わり、そうすれば役場もお詫びの菓子折りくらいはくれただろう、という話で、返さなかったほうが悪いってのは当然。
そう考えると、ギャンブル依存症問題でぱちんこ店を攻撃する奴らの言ってることがいかにおかしいかがわかる。依存症に陥っておカネを無駄にして困窮するのはどこまでも個人の責任で個人の問題であり、ギャンブルを提供する側を責めるのは基本的に(責められても仕方がないっていう部分はゼロではないとしても)おかしい。阿武町の男性の場合は「使わなければよかった」だけであり、ギャンブル依存症の人は「パチ屋に行かなければいい」だけ。そういう自制がきかないのがギャンブル依存症という病気であるとしても、射幸心を煽った役場やパチ屋の責任を追及するのは間違い。
ただし役場の仕事の仕方に問題がなかったのかを検証するのは必要だし、パチ屋も客のケツの毛までむしり取るような営業をすることは慎まなければならないんでしょうね。
しかし、容疑者の「ネットカジノで全額溶かした」という話、ちょっと信じられませんね。ネットカジノってのはそこでどんなギャンブルが展開されているものなのか、私は全然知らないのでなんとも言えませんが、いくらなんでも4,000万以上突っ込んで1円もリターンがない、ってのはあり得るのか。リターンはどこかに隠したりしてるんでしょうね。それが警察に発見されなければ、刑期を終えたのちにはそれを使えるわけだから彼の勝ち、になるのか。日本の警察もそこまで無能じゃない(すごく有能というわけでもないけど)と思うので、そうはいかないと思いたい。
そのへんの真相はこれから解明されていくんでしょうが、この件が報道で大々的に取り扱われているのをみて懸念するのは、
「これだからギャンブルやる奴は・・・」
「ギャンブル依存症ってやっぱり怖いよね」
という世論がますます盛んになり、それがパチ屋に波及して「パチ屋をもっと規制しろ」とかいう事態になりはしないか、ということ。心配しすぎですかね。いやいやいや、テレビとかでコメントしてる奴らはぱちんこのことなんか全然わかってないからネットカジノもぱちんこも同列に考えちゃうだろうし、ぱちんこよりも公営ギャンブルや宝くじのほうが(射幸性という点では)圧倒的にあくどくて危険、っていうのもわかってない。それに公営ギャンブルよりぱちんこ業界のほうが叩きやすいですしね。
ぱちんこの射幸性などカワイイもの、ともっと周知されてほしい
容疑者は2週間にも満たない期間で4,000万円スッた、と言っている。それがほんとうかどうかまだ断定できませんが、まああり得なくはない話ですね。ネットカジノの多くは1日にベットできる金額が5千ドルとか1万ドルとかになっているらしいものの、一部にはそれよりもさらにすごい金額を動かせるハイローラー向けのものもあるらしいし、いくつものネットカジノを並行して使うことだって可能なんだから。
これが競馬だの競輪だののいわゆる公営ギャンブルであったとしてもそれも「あり得る」という話。一度にベットできる金額は無制限(ですよね?)なんだから、極端な話2週間どころか数分で4千万溶かすことが可能。なんて恐ろしいギャンブルなんだ!そんなギャンブルの宣伝がテレビで堂々と流されてるっていうことを政治家はもっと問題視しろよ。
それに比べて、アホな政治家や有識者がギャンブル依存症を量産する最も危険なギャンブルと決めつける、パチンコ・パチスロの場合はどうか。
仮に容疑者が「パチンコで全部スッた」と言ったなら、これは100%ウソだということになる。100人くらいの打ち子を雇って打たせないと、この短期間でそれだけの金額を溶かすのは不可能。それまで600円しか持ってなかったような彼がそんなことをできるはずがない。
毎日毎日ぱちんこ店に行って打っている私でさえ、1年間に投資する金額は1,000万円をちょっと超えるくらいですよ。しかもその金額は年を経て規制が強化されるほどに減っていっている。遊びでテキトーに打って負けてれば使う金額はもっと多くなるでしょうが、それでも4,000万円すべてを溶かすには現在のパチンコ・パチスロなら数年かかるんじゃないか。どれだけテキトーに打っても毎日毎日負けるわけじゃないですからね。そのへんが競馬なんかとはわけが違う。なんて良心的なギャンブルなんだ!そんな良心的な(しかも法的には賭博ですらない)ぱちんこを目の敵にする政治家やテレビコメンテーターのアホさ加減には心底ウンザリする。
そこを考えれば、パチンコ・パチスロの射幸性なんぞはカワイイもの。射幸性の高さを問題にしてぱちんこの規制をキツくするくせに、競馬の3連単とか10億円が当たる宝くじとかネットカジノとかをほったらかしにしているのは絶対におかしいという話になるはず。
ネットカジノは現時点でそれを規制する法律がなく、今回の件をきっかけにそのへんが議論になって整備されていくことを期待したい。それと同時に、ネットカジノや公営ギャンブルに比べればぱちんこなんぞはささやかな娯楽であり、射幸性が問題だというなら目の敵にするべきはぱちんこではない、というふうな流れになってほしい。
もちろん、ぱちんこは動かせる金額が小さいとは言ってもその小さな金額でも身を滅ぼせる所得しかない人もいるわけだから、そういう人を救えるシステムは必要なのはたしか。だから依存症対策は必要なんでしょうが、それは出玉性能の抑制によってではなく、依存症に関する啓蒙活動をもっとやることのほうが業界のためにはいいでしょう。先述のように依存症はどこまでも個人の問題です。
いずれにしろ、ギャンブル依存症大国といわれる日本で最も危険なギャンブルはぱちんこではなく、公営ギャンブルや宝くじ、そして日本にいながらにしてベットできちゃうネットカジノ。それが一般にもっと周知されて、テレビで競馬のCMなんぞが流れたら「教育上よろしくない!」とクレームの嵐になるようになってほしいものです。そういえば私のところにはサイトにネットカジノの広告出しませんかという誘いがたまに来ますが、そんな絶対勝てないものの広告を載せるのは私の主義に反するのでいつも断ってます。GOOGLE広告で出ることはあるのかな。その場合は無視してください!
それから、現在のぱちんこに課せられている理不尽な規制が見直されることも願いたい!