ネット通販大手Amazonのサイトにて、Amazon以外の販売者が商品を販売している場が
総称して「Amazonマーケットプレイス」と呼ばれていますが、
そのAmazonマケプレにて、詐欺を目的としているらしい出品者が急増している、
というニュースが話題になっていますね。
私もAmazonマケプレでCDなどを商うとともに、消費者として購入したりもしていますので、
このままだとけっこう大変なことになるかも・・と危惧しています。
異常に安い価格、新規出品者、代表者は外国人の名前、が典型パターン?
Amazonの家電製品などのページをみると、怪しい出品者が
たくさんいますね。液晶テレビが31500円のものが4200円(中古ではなく新品)とか、
85800円のものが1168円とか。
まあ誰がどうみても安すぎるんですが、
出品者に価格競争をさせて客を集め、安くなった値引き分は出品者の負担、
軒を貸すAmazonは手数料をしっかりいただくだけ、というのが
マケプレのシステムなので、異常に安い価格で出品されていることがある、
というのはいまに始まったことではない。
だから、騙される人も後を絶たないんだろうと思います。
で、その異常に安い出品者のプロフィールをみてみると、
「新規出品者」で、代表者の名前は外国人の名前、というのが多い。
住所や連絡先は国内だったり海外だったりでいろいろあるようです。
以前から、海外の出品者で、なんか怪しい業者はたくさんいましたけどね。
私も以前、ドイツだかの海外の業者にCDを注文
(海外アーティストの超希少な廃盤CDでしたが海外の業者なら持っている可能性もあるかな、と思ってダメ元で注文してみた)、
大丈夫かなあ・・と思っていたら、「発送しました」メールはすぐにきたものの、
案の定、延々と届かない。「届かないぞ!」とメールしたら、
「配送業者に確認します」という返事。で、またしばらく連絡が来ない。
催促すると「配送業者からの情報提供がない」(←バカなの?)。
「再度送りたいけど在庫がなくて入手困難」→「待てないようなら言ってくれれば返金します」
というので、さっさと返金しろと催促。するとまた、なかなか返金されない。
さらにさんざん催促して、ようやく返金された・・・ということがありました。
まあこれは詐欺というのとは違ったんですけど、このケースも私がしつこく催促
したからお金が戻ってきたものの、黙ってればお金をとられて終わりになっていたでしょう。
このような、いかにも信用できなさそうな出品者は前からたくさんいました。
それを野放しにしてきたAmazonの怠慢が、ついに詐欺業者が大量発生する事態を
引き起こした、と言えるのではないでしょうか。
詐欺出品者の狙いがよくわからず不気味
詐欺業者の増殖により、「商品が届かない」などの苦情が増えているそうです。
さらには、出品者のアカウントが乗っ取られ、勝手に数万点の出品を激安でされてしまい、
注文が殺到→商品が届かない、と詐欺師呼ばわりされてしまうというケースも発生。
銀行口座が書き換えられ、売上金は詐欺師のもとへ・・ということのようです。
とてつもなく恐ろしい事態です。
しかし、代金をだまし取ろうとしても、Amazonマーケットプレイスには、
「Amazonマーケットプレイス保証」という制度
(購入者と出品者のあいだでトラブルになり、解決できず購入者が納得できない場合、購入者がAmazonに申請して返金をしおてもらう)
があり、その場合出品アカウントから強制的に返金をされてしまうので、
代金は詐欺師側には手に入らない。購入者が泣き寝入りするのを狙っているのか?
もしくは個人情報が狙いでは、という話もあります。
でも、出品者に伝わる購入者の個人情報って、住所と名前と電話番号しかないんですよね。
そんなものは電話帳とか電話番号の検索サイトとかでいくらでも手に入るし、
購入者の嗜好の情報と組み合わせて名簿業者に売る、というのもあるかもしれないが、
わざわざこんなことしてまでやるほどのことかというと疑問。
そうするといったい何を狙っているのか。
ここがよくわからないのでものすごく怖い。
Amazonの対応
Amazonの出品者が出品業務のために使うページ
「セラーセントラル」には、いまのところこの問題に関する声明は出ていません。
購入者がみるサイト上にもなんの注意喚起も出ていないようです。
ただし、セラーセントラルには、「2段階認証のご利用のお願い」という情報が来ています。
さらにメールでも送られてきました。
「皆様のアカウントのさらなるセキュリティ強化のため」という理由が書いてありますが、
これだけでは事態の深刻さが出品者にはあまり伝わりませんね。
2段階認証とは、通常はメールアドレス入力→パスワード入力、でログインするのを、
パスワード入力に加えて、登録された電話番号にSMSもしくは音声にて送信される
セキュリティコードを入力することによってやっとログイン、という形
自分のパソコンなどはこの機能を適用させない、ということもでき、
つまり他人がほかのデバイスから不正にログインするのを防ぐ機能です。
私もこの機能をオンにし、パスワードもいままで9文字だったのを
3倍くらい長いものに変更しましたが、はたしてこれで守れるのか。
なにより、公式に「こんな事態が起きているから、こういう対応をとっている」
というアナウンスや、顧客に対しての注意喚起が全くされていないのはどいうわけなのか。
この体たらくで、「地球上で最もお客様を大切にする企業」とはきいてあきれますね。
これでは、「管理しません、責任はとりません」というスタンスのメルカリなどと
ほとんど変わらないじゃないか。
高い手数料を払ってもきちんとした管理と信用があるから
私はAmazon専業で商売をしているわけで、
そこが崩れるのであればAmazonから撤退することも視野に入れなければなりません。
購入者がとるべき行動と、それが出品者に与える影響が心配
購入者が騙されないように自衛する手段としては、
いちばんいいのは「Amazonが販売・発送します」と書いてある商品を選ぶこと。
出品者が販売している商品の場合、「~が販売、Amazonが発送します」と書いてある商品、
もしくは「Amazon.co.jp配送センターより発送されます」と書いてある出品者から選ぶこと。
出品者販売のものでもAmazon発送のものを選べば、
偽物であるとかいう可能性もゼロではないけれども、とりあえず在庫がAmazon倉庫に
あることは確実なので、「届かない」ということはないはず。
この問題がさらに続くようだと、購入者がこのような行動に走り、
出品者が販売、発送している商品は売れなくなる可能性が出てきます。
そうすると出品者、とくに私のようにあまり回転しない商材(廃盤CD)を
扱っている出品者は苦しくなります。
Amazonに商品を預けて、受注から発送までを代行してもらう「FBA」は非常に便利な制度で、
これを使えば自分の出品商品に「Amazon.co.jp倉庫から配送されます」
と表示されますが、1年経っても売れなければものすごく割高な保管料金をとられる場合があります。
なので、どんどん回転する商品を商っている分にはいいが、
私の場合は3年4年経ってから売れるとかいうのも普通にあるので、
いまのところ一部の商品しかFBAを使っていないし、使えないのです。
すると、零細の出品者の商品は「怪しい」と売れなくなり、
淘汰が始まる可能性もあるのではないか。
そしてそもそもAmazon自体の顧客からの信用が揺らげば、
零細出品者はほかのオークションサイトなどに流れてしまうでしょう。
高い手数料を払ってまでAmazonで商売するメリットがなくなる。
さらに、CDや本などのメディア商品では「1円」(プラス送料)という出品が
当たり前にありますが、Amazon自体の顧客からの信用がなくなり、
「1円出品なんて怪しい」ということになれば、
1円で販売→送料で薄利をいただく、というのも成立しなくなる。
出品者に価格を競わせて安値を実現して客を集めてきたAmazonなのに、
「安いものは信用できない」と思われてしまったら、これは致命的なことではないのか。
Amazonがきちんとした対応をしない限り、Amazonの信用どんどん落ちるでしょう。
こういうときに全力で対応しないのなら、
結局は「地球上で最もお客様を大切にする企業」というのは口だけ、うわべだけのことだったんだ、
と思われても仕方がない。
とりあえず、購入する際はAmazon販売のもの、
出品者から買う場合はよくよく調べたうえで買うこと、
出品者は2段階認証の導入などできるだけのことをすること、
まずこれだけはやったほうがよいでしょう。
Amazonからのアナウンスや、事態の進展があったら、また記事にしようと思います。