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続・政治家の発言にみる、受動喫煙防止問題の根深さ 

自民党の穴見陽一衆院議員が、

受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案を審議した15日の衆院厚生労働委員会で、

参考人として招致した肺がん患者の発言に対し、

「いい加減にしろ」というヤジ(「ヤジ」ではなく暴言だろ)

を飛ばした、という報道をみました。

受動喫煙対策を訴える肺がん患者にヤジ 国会議員「いい加減にしろ!」

ちょっとびっくりしました。

いや、国会議員なんてクズでも務まる、というのは知ってますから

どれだけバカな発言を国会議員がしたところで別に驚きませんが、

これはもう社会人として、人間として理解不能なレベル。

わざわざ来てもらった人に対してヤジるという狂気の所業

以前にも大西英男議員の「(がん患者は)働かなければいいんだよ」

発言のときに、国会議員がこんなレベルでは

受動喫煙防止問題が前進するのはまだまだ何十年もかかるだろう・・・

みたいなことを書いたことがあります。

政治家の発言にみる、受動喫煙防止問題の根深さ

 

まあ、大西議員の場合は、身内しかいない場所で身内に対しての発言で、

そういう意味ではまだ「軽口でした。軽率でした」でも済むことだった、と思いますが、

今回の穴見議員の場合はそうはいかないでしょう。

野党が推薦した参考人だったにせよ、

相手はわざわざ呼んで来てもらった、主権者たる国民ですよ。

その国民に意見を述べてもらっている最中に、

「いい加減にしろ」とヤジった、と。

お客さんを呼んで、ご意見を賜りたいのです、とお願いしておいて、

いざ意見をきいたら「いい加減にしろ」。

これはヒドすぎる。

 

つまりこの人は、自分の政策に反対する国民に対しては、

「このクズが。いい加減にしろ」というスタンスで

日々国会議員の仕事をしている、

ということなんでしょう。そう思われても仕方がない。

選挙のときにはいいカオをして平身低頭で票集めをしておきながら、当選すればこんなもんです。

さきに貼ったニュース記事の彼の笑顔の写真をみると(彼に限らず、政治家のポスターとかをみるといつも感じますが)、

そういう打算的な醜さがあふれ出ているような気がして、徹底的に人間というものがイヤになります。

 

こんなのがいっぱい集まっている自民党という集団がいつも選挙で勝ってしまうのは、

国民がなにも考えないで投票するからで、

これほどの愚か者でも議員になれてしまうのは結局は国民の責任ですね。

 

で、FACEBOOKにて謝罪をしているようなのですが、

「参考人のご発言を妨害するような意図は全くなく、喫煙者を必要以上に差別すべきではないという思いで呟いた」

んだそうです。

人が話しているときに「いい加減にしろ」というのは、「お前の発言は聞くに堪えない。もうやめろ」という意味ですよね。

それなのに「妨害する意図はなかった」という。

ていうか謝罪するんなら参考人本人に直接謝罪するべきだろ。

しかも謝罪の文章を見る限り、ヤジをとばしたことも認めてないし

悪いことを言ったということも認めてない。

もう救いようがないですね。

ジョイフルのコメントも理解不能。トップの人間性が企業風土にもあらわれる?

穴見議員はファミレスチェーン「ジョイフル」の創業者の長男で、

以前には社長をつとめ、現在は代表取締役相談役、というポストにいるらしい。

 

で、ジョイフルは今回の件に関して、

「国会議員としての発言で、当社とは無関係」

という見解を示しているらしい。

 

無関係なわけないだろ。

代表取締役をやるかたわら議員をやっている(かたち上、議員は職業ではない)

んだから。

その言い訳が通るんなら、社長が犯罪で捕まったって、

「私人として行った犯罪なので当社とは関係ありません」でOK、ということになるじゃないか。

 

このジョイフル広報の姿勢も疑問だし、

サイゼリヤやデニーズやロイヤルホストなどが全面禁煙化を進める中で

いまだ分煙で済ませている、

ということからも、穴見議員の喫煙に対する価値観が

会社に影響をあたえているのは間違いないでしょう。

 

席を分けるだけの分煙では、

おそらく客から「こんな分煙は意味ないぞ!」

というクレームもあると想像されますが、

社長だった穴見議員はそういう声には

「いい加減にしろ。喫煙者を差別するな」と思っていたんでしょう。

まあ、2世社長が客の声に真摯に耳を傾けようとしていたとは思えないので。

そんなことを考えたこともなかったのかも。

いずれにしろ、タバコが臭くて食事が楽しめない、という客がいるなら

「我慢してください」というのがジョイフルの方針なんでしょう。

ジョイフルには、このご時世に分煙すらしてない店がたくさんあるそうですからね。

 

ジョイフルは「ゆくゆくは全面禁煙に」

と言っているようですが、

これも「法律でそうなるから」

というだけの話で、

客のことを考えてみずからの意志でそれを推し進める、

ということではないらしい。

「ゆくゆくは」なんてのは、「やりません」っていうのと同じでしょう。官僚的ですね。

 

ジョイフルはもっと危機感をもったほうがいいのでは。

このまま「タバコ臭い店」もしくは

「非喫煙者に『いい加減にしろ』というスタンスで対応する人が代表取締役の会社」

というイメージが定着したら、

これからどんどん減るであろう喫煙者しか行かなくなる。

どんどん増える非喫煙者から見向きもされない店になる。

ただでさえ人口減でパイの奪い合いになることが確実なのに、

圧倒的に多い(これから多くなる)非喫煙者のほうを向いて商売をしようとしない、

というのはファミリーレストランチェーンとしてはどうなの、という気がします。

そういうことを言う株主はいないんですかね。

喫煙者が非差別意識をもってしまうのは・・・

気になったのは

「喫煙者を必要以上に差別するべきではない」

という彼の発言。

 

この喫煙者の被害者意識はいったいなぜ生まれてしまうのでしょうか。

自称有識者みたいな人にも、

喫煙者がどんどん隅に追いやられる状況をさして、

ヒトラーが嫌煙者だったことを持ち出して「禁煙ファシズム」

などと言っちゃってる人がいますが、

何度も言うようにいままでは(ていうか今も)非喫煙者が一方的に被害をこうむっていたのですよ。

いままで我慢していた人たちが声をあげて力を持ってきて、

好きな場所で好きな時に吸えなくなったから

勝手に被害者意識をもっているにすぎない。

「好きな場所で好きな時に吸えた今までがおかしかった」のに。

だれも「吸うな」なんて言ってないのに。

 

そもそも一連の受動喫煙防止の議論のなかでも、

タバコが悪い、受動喫煙の害と迷惑が悪い、だから吸う場所を限定しよう、

というだけの話であって、「『喫煙者が』悪い」とはあまり言われてないと思うんですが。

なぜ、「差別」という表現になるのか。

 

今回の穴見議員の発言も、たとえば参考人が

「タバコを吸う人間はすべからく他人を思いやることができない人間」

「タバコを吸う人間が多い場所は治安が悪い」

「タバコを吸う人間は自己管理ができない人間」

とか決めつけて発言(よく言われることですけどね)したのであれば、

「喫煙者を差別している」と憤ってもいいでしょうが、

参考人はそんな文脈では発言していない。

 

これはやっぱり、

非喫煙者にとって傍でタバコを吸われるということは

ひたすら迷惑なことなんだ、という意識が

喫煙者側にないからだ、と思います。

 

迷惑なことだと思ってないから、

迷惑だ、と騒ぐ人をみて横暴に感じる。

なんで吸う場所を限定されなきゃあいけないんだ、と思っちゃう。

差別されてる、と感じてしまう。

 

「差別」ではなく、

私は「喫煙」という行為を公共の場ですることが

徹底的に白眼視されるようになることが必要だと思います。

公共の場で立小便したり痰を吐いたりすれば

「なにあの人・・」と思われるでしょう。

公共の場での喫煙も同じように白眼視されるようにならないと、

喫煙者は「迷惑行為をしている」と気づけない。

 

「迷惑だ」と言わてみないと

副流煙を吸わされてる人間がどれだけ苦しんでるか

喫煙者は一生理解できない。それどころか、

「迷惑だ」と言われても理解しようとしない人がほとんど。

 

「禁煙」とされてない場所ならどんな状況であろうとも吸えるのが当たり前、

「禁煙」じゃない場所ならそこにいる非喫煙者は副流煙を我慢するのが当たり前、

という意識を大部分の喫煙者がもっているかぎり、

受動喫煙防止問題は前に進まないでしょう。

そういう意味では、場所の規制よりもやるべきなのは

「教育」「啓蒙」なんだろう、と考えています。

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