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アルツハイマー病の原因物質蓄積を血液で判別

認知症で最も多いといわれる

「アルツハイマー病」の原因物質とされている

「アミロイドβ」の脳内への蓄積を、

ちょっとの血液で調べることができる検査法が開発された、

というニュースが。

アルツハイマー病を少量血液で確認 世界初

 

これはかなり凄いことであるけれども、

患者にとっては(現時点では)「だから何?」という話でもあります。

今回はこれについて思うことを書いてみます。

アミロイドβの蓄積を早期に察知できれば・・・

アルツハイマー病の原因物質が

「アミロイドβ」というたんぱく質、

言ってみれば「脳にたまるゴミ」である、と言われており、

それを脳内で「分解」する治療法が近い将来確立されるかも・・

という話を、「アルツハイマー病は確実に治せる」はほんとうか

の記事で書きました。

 

で、その「アミロイドβ」が脳内にどれだけたまっているのか、

それを把握するのは現時点では

ものすごくおカネがかかる(1回30万円くらい)か、

体に負担がかかる(脊髄に注射器を刺して髄液をとり、そこから測定する)か

のどちらかで、

カンタンな検査方法を確立するのが課題である・・・

という話でした。

 

で、今回のニュースは、国立長寿医療健康センター島津製作所の研究チームが

それを実現した!という話のようです。

島津製作所 プレスリリース アルツハイマー病変の早期検出法を血液検査で確立 - アルツハイマー病治療薬、予防薬開発の加速に貢献が期待 -

 

手元の読売新聞によると、

「アミロイドβは血中にわずかな量しか含まれておらず、血液検査で調べるのは難しいとされてきた。研究チームは、アミロイドβの蓄積によって変動する複数の関連物質の比率から脳内の蓄積の度合いを推定する技術を開発し、わずか0.5㏄の血液で測定できる方法を確立した」

とのこと。

早期発見・早期治療というよりも、そのさらに前段階での予防が可能になるかも?

アミロイドβがたまり始めてからアルツハイマー病が発症するまでには

20年程度かかると言われているので、

健康診断の血液検査で

「アミロイドがちょっとたまってるっぽいですねえ~、くわしく検査してみましょうか」

となれば、発症するまでのあいだになんらかの手を打てる可能性が高まりますね。

 

いま巷で言われている

認知症の「早期発見」は、

物忘れがひどくなったとか、性格が変わってきたとか、

約束を忘れるようになった、とか、

つまりもうすでに症状が出た段階での「発見」ですよね。

いわゆる「軽度認知障害」(認知症の前段階、まだ日常生活に支障がない段階)

にとどまっている段階で、適切な治療、生活改善などをすれば、

認知症の発症を遅らせることが可能である・・

(認知機能の原因が治療可能なものであれば「治る」こともある)、

というのが、現時点で言われている「早期発見」のメリット。

 

しかし今回の検査方法が実用化されれば、軽度認知障害がでてくるはるか前に

そのリスクを知ることができるわけですね。

 

そして、発症までのあいだに予防をおこなうことができれば、

認知症患者を大幅に減らすことも可能かもしれません。

しかし・・・

リスクがわかるだけでは、ただ絶望するだけで意味がない

(現時点で)課題は、

アミロイドβを取り除く治療法、治療薬が

まだ確立されていないということでしょう。

 

健康診断でかたっぱしから

「アミロイドβがたまってます。近い将来認知症になりますよ」と宣告し、

「どうすればいいんですか」と訊かれたときに、

「いまんとこどうしようもないです。生活習慣の改善くらいかな」

では、ただ絶望するだけ。その後の生活への意欲にもかかわり、

生活の質そのものも脅かされることになるでしょう。

 

私の母はアルツハイマーであると診断されたとき、

それについてどう思っているか一言も話さなかったのですが、

「治らない、ただ進行するだけ」ということがわかったときの

絶望は計り知れないくらいだっただろうな、と思います。

そんな絶望をまだ若いうちに味わうというのは、

考えるだけで悲しくなることです。

 

なので、ほんとうは治療法や治療薬が先にできてほしい

(現在の「認知症治療薬」は根治を目指すものではなく、進行を遅らせたりするだけ)

のですが、それを開発するためには研究対象となる、

「アミロイドβがたまってるけど発症してない」人が必要。

研究対象を多く集めるためには、安く安全に検査できる方法がなくてはならない・・・

ので、今回の検査法は治療法の研究開発を加速させられるかも、と期待されるわけですね。

検査方法と治療方法が両輪で開発されていかないと

打倒アルツハイマーは実現できない、ということでしょうか。

 

ともかく、アルツハイマーを完璧に予防、もしくは根治させる方法が確立するのは

まだしばらく先の話のようなので、

とりあえずは「アミロイドβが蓄積しにくい生活をする」

ということを心がけるのが大事なのかなと思います。

そのためには睡眠や運動や知的活動や食事などが重要という研究もされているようなので、

そのへんについても勉強して記事にしていこうと思います。

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