私のなじみのホール。ここ最近になってパチンコ「ラッキートリガー」搭載機を「推し機種」としてプッシュすることが多くなってきたようです。
といっても釘をガバッとアケるなんてことはありませんけどね。ボッタクリ釘が少しはマシになるくらい。もともとゴミみたいなゲーム性の台しかないのに、「推し!」と言いながらハナクソ程度しか回らないとか、どんだけ客をなめてるんだって話ですねえ。「クソ台で申し訳ないんですけど回るようにしましたからどうぞ座って下さい」というふうにはならないんだろうか。業界人はあれで「面白い台」という認識なのかな。そんなだから遊技人口がどんどん減っているのに。
それはともかく、業界の人は「ラッキートリガー」みたいに、これまでよりも爆発力を高めれば客に人気になると思っているらしい。メダル機よりも爆発力の高い「スマスロ」が人気(?)になっているし、まあそれは間違ってはいないのはわかる。
しかしそれはあくまで「いまだにパチ屋に来てくれている人」から人気を得ている、ということであって、パチ屋行ったってつまらねえしイイことねえ、とパチ屋から離れていった人やぱちんこやったことない人がパチ屋に来るようになった、という意味での「人気」ではないというのは、もう何度も書いているとおり。→「ラッキートリガー」で客が戻ってくるという幻想
いままでほかの台を打っていた人がラッキートリガー機やスマスロに移ったというだけのことを、「人気」「成功」などととらえてしまうのは非常に危険なことだと思うんですけど、ぱちんこ業界の常識は外部の人間には計り知ることはできませんしね、外野(ぱちんこ業界にとってはパチ屋に来るエンドユーザーはどこまでも外野、カンケーない人たちなんだ、と痛感させられることばかり)がなんだかんだ言おうが無意味。
かつて「ニューパルサー」や「大花火」「北斗の拳」、パチンコなら「CR花満開」なんかが登場したときは、パチ屋になど行ったこともないような人がそれを打ってみたくてパチ屋に行き、その面白さにハマってぱちんこファンになる・・・ということが起きていた。私の周囲にもそういう人はたくさんいたし、じっさい私自身、「ニューパルサー」がきっかけで本格的にパチスロが好きになった。
いまのスマスロや「ラッキートリガー」機にそういうエポックメイキングな台、パチ屋の客数自体を増やすような魅力のある台があるかというと、私にはそんなふうにはまったく感じられない。そういう台が出て、パチ屋に客が戻って、たくさんの企業が「ぱちんこは儲かる」といって新規参入するくらいになれば「成功」といっていいでしょうけどねえ。まあもしそれが実現するとしてもすぐにというわけにはいかないのはわかるけど、いまパチ屋で稼働しているスマスロやラッキートリガー機をみて、そうなると思うファンはあまりいないんじゃないか。
だって、ただ単に「より波を荒くしました!爆発するときはいままでよりスゴイです!」というだけですからねえ。それ以外の、肝心なゲーム性の部分に関しては、いままでと同じような、使い古された陳腐なマンガ演出で煽るだけでまったく進化してないんだから。先述のニューパルだのオオハナビだの北斗だの花満開だのは、それ「だけ」ではなかったからエポックメイキングな台になったわけでしょ。
だから、規則に抜け穴をみつけたり自主規制を緩めたりする前に、とにかくオトナが飽きずに楽しめる面白い台を開発することに血道をあげてほしい・・・っていうのをずっと書いているわけなんですが、こんどはパチスロのいわゆるノーマルタイプについて、「解釈」の変更によってボーナス高確率状態をつくりだして出玉の波を演出しようという機能が出てくるらしい。いわく「ボーナストリガー」。
「警察庁の技術上の規格解釈基準の変更」により実現?
すでに報道されているので、詳しくはそちらを参照していただきたい(私もよくわからないので解説できない)ですが、要は、BETする枚数によってボーナス確率が変わるのは現行機でもそう(1枚でも3枚でも同じだったらそりゃあみんな1枚でプレイしますよね)なわけですが、それを逆手に(?)とって、たとえば特定ボーナス後は決められたBET枚数でしかプレイできないようにしてボーナス確率をアップさせる、ほかのボーナスではBET枚数がいつもと変わらず通常の確率・・・というふうにして、「ボーナス高確率状態」をつくりだす、ということらしい(解釈が間違っていたらゴメンナサイ)。「特定ボーナスなら次回ボーナスまで確変」という感じになるわけか。
「ボーナストリガー(BT)」は、8月23日付で改正された警察庁の技術上の規格解釈基準(新解釈基準)により実現したもので、以下の2つの基本仕様が特徴だ。
・ボーナス終了後、遊技枚数(メダル投入枚数)が、1枚がけ~3枚がけのいずれかに固定される。
・遊技枚数ごとで性能(ボーナス当選確率)が異なるため、ボーナス終了後に性能が変化する。例えば、ノーマルタイプで、3枚がけ時はBB確率が1/300、2枚がけ時は1/30と設計し、特定のボーナス終了時を契機として3枚がけ固定モードや2枚がけ固定モードに移行するゲーム性が可能になる。その結果、BB後にはボーナス高確率モード、RB後には通常モードといった新しいスペックが実現できる
↑引用元:WEBグリーンべると【パチスロ解釈基準改正】ボーナス高確率状態の搭載が可能に! ノーマルタイプに新機能「ボーナストリガー」登場
AT機などは対象外。そしてあくまで「新解釈基準」ということで、規則で決められている部分はもちろんそのまま。最大払い出し枚数(最大300枚)、そして出玉率や出玉速度の規制もそのままだから、デカい枚数のボーナスが即連ってのはたぶんできないんでしょうね。「ネオプラネットXX」の天国モード(天国中のボーナス放出確率約1/52)くらいの性能ならイケるのかな。ボーナスゲーム中の1Gの払い出し枚数を思いっきり少なくしたりするのかな。
そのへんはどうなるのか出てみないとわかりませんが、ゲーム性の幅を広げることができるってのはまあ間違いなさそうだし、あくまでもオマケ的(たとえばプレミアム的なボーナスを引いたときだけ突入するとか)な位置づけであれば遊技のアクセントとしてはいいかもしれない。個人的には、常に一定確率での抽選のノーマル機であっても、面白い「波」というのはフツーにできる(それどころか理不尽ともいえる波ばかりに遭遇しますよね)んだから、そんなのべつになくてもいいよ、とも思いますけどね。アタマのいい(はずの)人が揃っているメーカーの開発陣なら、このシステムをうまく使って我々の考えつかないような面白い台をつくってくれるかもしれない。
「ノーマルタイプは遊技性が非常に限定され、多様な開発が難しい」?
まああまり期待せず待つことにして、それよりも私が気になったのは、先に貼った記事にあった、日電協(日本電動式遊技機工業協同組合)の理事長さんのコメント。
記者会見で、日電協の小林友也理事長は「ノーマルタイプは、AT機と比較して遊技性が非常に限定され、多様な開発が難しいという課題があった。そこで、ノーマルタイプの遊技性を進化させるべく、新たな遊技性の創造を目指し、警察庁に継続的に要望を行ってきた。その結果、今回の解釈基準の変更により『ボーナストリガー(BT)』の搭載が可能となった」と、今回の経緯を説明。
う~ん、なんかこれみるとまるでいまのAT機がバラエティ豊かな遊技性をもっていて多様な開発ができている、という認識でいるように感じるのだが、いやいやいやそうか? あまり打ってないからわからない(「打ってから言えや」と言ってこないでね)けど、みているかぎりAT機も(ていうかAT機のほうが)どれもこれも同じようなもんに感じられるが。
レバーオンで液晶作動→バーを狙ってスイカが滑ってくる→スイカ揃いもしくはハズレてチャンス目→連続演出→成功→チャンスゾーン→成功→ハナクソみたいな枚数のボーナス→ボーナス中も通常時と同じようにマンガで煽られながらレア役を引く→AT当選→レア役で上乗せか特化ゾーン→特化ゾーンでギャアギャア煽る・・・という構造は全部同じでしょ。それ言ったらノーマル機も構造はだいたい同じなわけですが、そのなかで「多様な遊技性」をつくりだすのはやっぱり「出目」演出と、そこに液晶演出がどうからんでくるか、になってくる。いまのAT機はそこが全部同じ、というかなんのヒネリもないからすぐ飽きる。液晶でなにか起きるまでスマホ見ながら打ってるプレイヤーばっかりなのがなによりの証拠。いったいどのへんが「多様な開発」ができているというのか、私にはまったくわからない。5号機初期のころは各メーカーが手探りで面白い台を開発しようと頭をひねっているというのが私にも感じられたし、じっさい「考えた人天才かよ」という台もいっぱいあって、まさに「多様な遊技性」を実現していた感がありましたが、いまはそんなふうには全然感じない。
それに、「ノーマル機は遊技性が非常に限定され、多様な開発が難しい」ってのは本気で言ってるんだろうか。ただ単に「ホールが欲しがるような儲かる台をつくるのが難しい」というだけでは。本気で言ってるとすれば、それは規制のせいではなくて、奥の深い出目演出だのを開発するのは面倒くさいし、告知マシンはジャグラーに絶対勝てない、そういう意味で「難しい」というだけのことじゃないのか。
私のなじみのホールでは「新ハナビ」や「バーサスリヴァイズ」が並んで設置されてて、しかもけっこう回されているけれども、RT搭載のノーマル機というシステム自体は同じで出目演出も似ている部分が多いとしても、パチスロというゲームとしてはまったく違ったゲーム性をもっている。この2台をそれなりに打ち込んでて「どっちも同じ」と思ってる人はそんなにいないんじゃないか(いる?)。ジャグラーとハナハナも告知マシンという性格は同じだが打ってみればまったく別モノであることがわかる。そもそも90年代半ば~後半の技術介入機全盛のころはほとんどノーマル機ばかりしかなかったけれど、置いてある台がみんな同じようなものばかりだったかというと全然そんなことはない。「ダイナマイト」と「クランキーコンドル」が(どちらも技術介入機であっても)同じような台だったと思う人はいないでしょう。むしろ今よりもバラエティ豊かだったんじゃないか。
いずれにしても、理事長さんの言ってることは、面白い台をつくれない理由を規制のほうへもっていこうとしているようにしか聞こえない。いやいやいや、今の規則でも面白いノーマル機はいくらでもできるでしょ。「新ハナビ」は私もすでにさんざん打ちましたが、まったく「飽きる」ということはないし、いまだに「こんなことあんの!」「この出目ってリーチ目なのか!」という驚きも体験する。規則が厳しいから「遊技性が限定」「多様な開発が難しい」というのはウソ。本音は「ホールが欲しがる儲かる台がつくれない」ということでしょう。今回の「ボーナストリガー」はそれをなんとかするために、ノーマル機に連チャン性をもたせよう、というだけの話なんじゃないか。
ともかく、業界のエライ人が「ノーマル機は多様な遊技性を持たせられない」という認識を公にしていることにちょっと驚いたというか、ガッカリした次第。私は逆だと思いますけどね。いまはAT機こそ全部同じのばっかり、ノーマル機は「多様」なゲーム性をもたせることもできるけれど、ホールが冷遇するから客が飛んで、だからホールは「ノーマルは儲からないからいらない」というふうになってるんじゃないのか。
私はぱちんこ業界人ではないので、業界の人からすれば「なに言ってんだこいつ」でしょうが、言いたいことはいつもと同じで、出玉性能や連チャン性をアップさせて依存症層にアピールする前に、ライトユーザーも惹かれるような、オトナのユーザーでも長く愛せるようなゲーム性をもった面白い台を出してほしい、ということだけ。だから、「ボーナストリガー」は「大量出玉へのトリガーを搭載しました!これでノーマル機でも脳汁ブシャ~になるでしょ!」というアピールにつかうのではなく、どこまでもゲーム性の幅を広げるために活用してほしい。
というわけでいろいろ文句を垂れましたが、ぱちんこファンのひとりとしてぱちんこの人気の復活を願っているのは私も同じ。「ボーナストリガー」機が成功して、パチ屋に来る客が増えてくれることを期待します!