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大相撲:横綱豊昇龍が誕生

さきの大相撲初場所で大関豊昇龍が12勝3敗、平幕力士ふたりとの巴戦を制して優勝。その結果横綱に推挙され、第74代横綱となりましたね。

この件についてはスルーしようかと思ってました(いままでここに書いたことと同じことを思っただけだから)が、古参読者の方から「これはどう思う?」と訊かれたので、いちおう思うことを書いておこうかと。繰り返しのような記事になるので「またか」と思う方はスルーしてください。

横審と相撲協会のご都合主義はいつものことだが・・・

豊昇龍は昨年の九州場所で大関で準優勝の成績、横綱昇進の目安として「2場所連続優勝もしくはそれに準ずる成績」というのがあるから、初場所で優勝すればそれを満たすから横綱昇進のチャンス・・ということで注目を集めました。

それで九日目までに平幕相手に3敗を喫し、もう昇進の目はないだろ・・という空気になったものの、周りが自滅しはじめて3敗で3人がならび、決定戦を経て優勝・・・となりました。

 

優勝するかも→優勝しちゃった、となって、「昇進は厳しい」とか言ってた協会幹部や横審の奴らの態度は一変。横審の委員長(交代したようですね)は「優勝したというのは大きい」などとぬかして高く評価、横審は何と驚くべきことに全会一致で横綱に推挙することを決定。

 

いやたしかに絶望的なところから優勝までこぎつけたのはたいしたもんだけど、そもそも金峰山が千秋楽で負けてくれてなければそれで終わりだったわけでしょ。ただ優勝のチャンスが他力で転がり込んできただけじゃないか。

もし金峰山が13勝2敗で優勝していたら横審はこう言ったでしょう。「平幕相手に3敗は不満」「12勝という低レベルでは推挙できない」「来場所へ持ち越し」と。成績が同じ12勝3敗であったとしても、ですよ。

いつだったか貴景勝が11勝4敗で優勝したときは、横審の連中は「11勝というのは低レベル」とかぬかしていた。12勝と11勝、そんなに違いますかね。ただ印象でものを言ってるだけなのでは。

それに、横審の委員長は「優勝したというのは大きい」と言ったけれど、これが9勝6敗で決定戦で勝った優勝が2回続いた結果だったとしたらなんと言うのだろう。それでも「優勝したんだから」と推挙するのか、それとも「9勝では物足りない」と言うのか。

 

さらに、これはじっさいそうならなかったからわからないけれど、照ノ富士が引退してなかったら豊昇龍の昇進もおそらく「時期尚早」とか言われていたでしょう。つまり横綱が空位になるのを避けたかった、と思われる。

 

これを「ご都合主義」と言わずして何と言うのか。同じ成績をあげてもたまたまそれ以外にそれ以上の成績の力士がいたかいなかったか、というだけで横綱昇進という重要案件の結果が変わってしまう。平幕相手に3敗じゃだめだよね、って一度言ったらそれを貫き通せよ。大乃国なんか「平幕に3敗で昇進なんてありえない」とか断言してたじゃないか。それがギリギリで優勝したらカンタンに手のひら返し。協会にも横審にもなんの信念も感じられない。横綱はこうあるべき、横綱ってのはこれこれこうじゃなきゃいけない、っていうのがそもそもないからこんなことになる。

相変わらず勝ち星の数の話しかしない

それとこれは前から言ってるけど、相変わらず「何敗だからどうの」とかいう話しかしないのが気になる。勝ち星の数とか協会の都合だけで横綱を粗製濫造させないために横審はいるんじゃなかったのか。

豊昇龍はついこないだ、負けてふてくされて礼をせずに土俵を降りて審判に「ちゃんと礼しろ」とやりなおしを命じられるという大関にあるまじき不祥事(これは不祥事。本場所は教習所の授業じゃないんだから)を起こしている。その前にも立ち合い時に延々と手をつかないとかいうふざけたマネをしているし、ふてくされた土俵態度をみせることはしょっちゅうでしたよね。

新聞などはそれも改善された、と書いていたが、ほんとうにそうかあ?私には全然そんなふうに見えない。負けて土俵をたたくとかみっともないったらありゃしない。相手が手をつくまで絶対に手をつかず、「じぶんのタイミングで立ちたい」ってのがみえみえのイライラさせられる立ち合いも変わってない。大関なら「いつでも来いや」っていう態度が当然じゃないのか。

 

あのやたらと相手を威嚇するようににらみつけるのも(それは以前の横綱にもそういうのはいたけど)、「品格」とは程遠い行為にみえる。貴乃花なんかどれだけの大一番でも涼しいカオ、泰然自若そのものでしたよね。

その意味では王鵬なんかは横綱にふさわしい「品格」を感じさせますね。気合が入っていてもそれを表に出さない。そういうのを横審や協会幹部はちゃんとみて評価しなければならないはずだけれど、言うことは「何勝何敗だから」「誰誰に負けたから」とかいうことだけ。

今回の豊昇龍についても、委員の誰から「いやあの土俵態度じゃあ横綱にふさわしくなくない?」とかいう意見は出なかったんだろうか。全会一致というから出なかったんだろうな。なんのためにいるんだよ。そういうこと考えずに横綱をつくったから双羽黒だの朝青龍だの白鵬だのみたいなのがうまれちゃったんじゃなかったか?

教育不足が不祥事横綱を濫造した歴史をかみしめなおすべきでは

ビックリしたのが、豊昇龍が「横綱の品格とはどういうものだと思いますか?」って訊かれて「その言葉の意味がわからない」って答えたという話。

純粋に「HINKAKU」という日本語の意味がわからなかったのか、「品格」と言われてもなんと言ったらいいのかわからない、ということだったのかよくわからないけれども、どっちにしても、師弟間や協会幹部との間や横審と本人との間でそういうことを話題にしてない、ということが浮き彫りになったのでは。

横綱ってのは強いだけじゃいけないんだよ、土俵以外でもこれこれこういう態度を貫いて力士の模範になり、相撲を志す子どもたちの見本にならなきゃならないんだよ・・・とかいう教育を授けていれば、おそらく「品格」という言葉もそのなかで学ぶだろうし、横綱に求められる品格ってのはこういうもんだ、というのを本人も自分なりに考えるはずでしょう。

横審の奴らは大関を誘って食事したりしてそういう話をしたりとかしないんだろうか。横審の委員はその本職ではすでに一線を退いた人たちばかりなんだからそんな暇はいくらでもあるだろ。そういうことをしていれば力士の人柄もある程度理解したりもできるのでは。そうすれば「豊昇龍の態度が悪いからダメ」という意見が出たとしても、「いや彼は実はこれこれこういう奴なんだよ」という話にもなるのでは。

「横綱」はただの「称号」「免許」にしろ

まあ「地位が人をつくる」っていうのはあるから、豊昇龍が今後横綱らしい風格を身につけていくことに期待したい。照ノ富士だってケガする前のイケイケのときは傍若無人な感じでしたもんね。しかし豊昇龍がそうなるためにはやはり師匠や協会幹部や横審が「勝てばいいってもんじゃないんだよ」というのを教え続けないと。横綱とか言ったところでしょせん中身はただの力自慢の若造、ということを忘れてはいけない。人間的には練られてないんだから、横綱になったからといってやたらと持ち上げてチヤホヤするのは慎んだほうがいい。

 

しかし何度も主張しているように、「横綱」は「地位」ではなくただの「称号」「免許」にしろ、という私の考えは変わりません。不祥事を起こしたら免許を取り上げればいいんだから。ケガしたりして成績不振になったら称号を一時返上もしくははく奪、にすれば、強制的に引退させられずにすむ。地位にしちゃってるから不都合がいっぱい起こっている。

これで豊昇龍が万が一来場所大ケガでもやらかして成績不振もしくは長期休場になったら、もう「引退しろ」とかいう話になるのですよ。まだ25歳なのに。若かりしころの照ノ富士の大ケガも横綱に昇進したあとだったなら序二段に落ちるなどということも許されずさっさと引退させられてすでにモンゴルに帰っていたはず。そんな理不尽な話があるか。そうなるのが恐ろしくてこれまでの大部分の横綱はケガしないように負けが込まないように八百長に走り相撲がつまらなくなったわけで、なにはなくとも横綱の在り方自体を早急に議論してほしい。でも協会幹部や横審があの体たらくじゃあ、そんな改革はできないでしょうねえ。

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