横浜市の林文子市長がIR(カジノを含む統合型リゾート)の誘致を表明し、
候補地とされる山下ふ頭の港湾事業者や市民からは反対の声があがっている・・・
という話。
→朝日新聞デジタル 横浜がIR誘致、山下ふ頭がカジノ候補地 反発は必至
林市長が、市長選ではIR誘致について「白紙」と言っていたのにいまになって誘致に意欲をみせたことに
「裏切られた」と反発する市民も多いらしい。
「白紙」はつまり「決まってなかった」ということだから、いまになって「決まった」と言っても市民をだましたことにはならない・・と市長は言っていましたね。
それは理屈的にはそのとおりなんでしょうが、
ほんとうはIRをやりたいと思っていたのに選挙に影響しちゃまずいから「白紙」と言っていた・・・
のであれば、それは選挙前には都合の悪いことは隠蔽、なかったことにしちゃう自民党と同じ狡猾なやり方・・ということになりますね。
まあ、政治家なんてみんなそんなもんだし、
政治家でなくとも立場や状況が変われば言うことが変わるというのは人間ならば必ずあることなので、
まあ市長の言い分にはそれほど問題はないと思います。ただし、ひょっとしてIR業者からカネもらったんじゃないかとか、いろいろ勘ぐられても仕方がないでしょうね。
今回はこれについて感じることを書いておきます。
ほんとうにそんなに儲かる?
このブログでは日本のカジノの問題についてたまに記事にしていますが、
いつも書いているように、私自身はカジノ賛成派。ていうか、反対する理由がない。
しかし、日本版のカジノつきIRが
地域の経済を潤すまでに成功するか、というと
そこには疑問をもっています。
横浜市が発表した資料→横浜市 IRの実現に向けて
によると、
IRへの訪問者数→2000万~4000万人/年、
IR区域内での消費額→4500億~7400億円/年、
経済波及効果→6300億~1兆円/年、
地方自治体の増収効果→820億~1200億円/年
これだけの経済効果を見込んでいるらしい。
いやいやいや・・・そんなに人が来ますかね。
IR予定地の山下ふ頭のすぐ近くにある、あの壮大な「みなとみらい21」地区全部での来街者数が
年間で8000万人くらいという話なのに、
それよりもはるかに小さい(面積でいえば1/10くらい?)
IRをひとつつくったくらいでそんなに人が押し寄せるんですかね。
IRの内容は
国際会議場
国際展示場
ホテル
エンターテイメント施設
レクリエーション施設
となっていますが、これって全部「みなとみらい21」地区にすでに立派なものがありますよね。
市民は「そんなもの『みなとみらい』があるからいらねえよ」となるのでは。
「みなとみらい」になくてIRにあるのはカジノだけ。
となると、カジノでどれだけ集客できるか、と言う話になるのかな。
しかしそれこそが最も難しいのではないでしょうか。
がんじがらめの規制下でのカジノは魅力ゼロ
依存症依存症と一つ覚えのように騒ぐ人たちのおかげで、
これからつくられようとする日本のカジノは
規制でがんじがらめになる予定。
そんなカジノに誰が来るんだよ・・ていうくらいのもので、
IR全体の話はともかく、カジノだけをみれば絶対に失敗すると思われますね。
まず、一般の日本国民はカジノへ行かない。
日本国民は6000円というバカ高い入場料を払わなければカジノへ入れない。
→ギャンブル依存症防止のためにカジノ入場料を6000円に・・・という愚
しかも、日本には「ぱちんこ」というカジノゲームよりはるかに面白いギャンブルが存在する。
一般国民は、入場料をとられ、しかも勝てない(勝つ確率を高められない)、敷居が高いカジノにわざわざ行くくらいなら
慣れ親しんだぱちんこのほうがいい、と考えるでしょう。
ルーレットだのバカラだの、そんなカジノゲームなんぞは海物語やハナハナと比べればゴミ以下ですよ。
そんなもんに夢中になるほど一般の日本人は純朴じゃないでしょ。すでにギャンブル大国なんだから。
で、パチンコなどやらなそうな、お金持ちの日本人がカジノに来るかと言うと、
これもムリでしょう。金持ちでも日本人であれば入場回数の制限があったり
クレジットカードが使えなかったりマイナンバーを提示しなきゃダメだったりとか、
とにかくウルサイことが多いので、めんどくせえ・・・となって
みんなマカオとかに行くでしょう。
すると、日本のカジノに行くのは外国人観光客「だけ」ということになりますね。
なかでもデカいカネをつかってくれそうな中国の富裕層が頼みになるか。
いずれにしろ、日本国民が魅力を感じないようなカジノが、年に何千万人も集客する原動力になるとはとても思えません。
横浜市民には反対の声が多いらしいですが、
上記のような「このままではうまく行かない」という理由で反対というのならわかります。
しかし、反対する理由はそれではないらしい。
反対理由は結局それなのかよ
「ハマのドン」と呼ばれているらしい(ほんと?聞いたことない)、
横浜港運協会の藤木さんという会長が、
横浜へのIR誘致に猛然と反対しているらしい。
私はそれをきいたとき、
「そもそもそんなに客が呼べないし儲からない。税金の無駄だ」とか、
外国人が押し寄せて観光公害が起こったらいやだ・・とか、
トランプのいいなりにカジノを合法化して外資のIR業者にうまい汁を吸わせるのが気に入らない・・とか、
そんなものをつくって山下ふ頭を汚すな・・・とか、
そういう理由で反対してるのかな、と思ったのです。
しかし、理由は
「横浜をばくち場にしない」というものらしい。
IRには賛成、でもカジノには反対。
いわく、ギャンブル依存症についてその恐ろしさを知るにつけ反対に転じたらしい。
な~んだ、結局それなの?はっきりいってものすごくガッカリ。
パチンコ店は横浜市の中区だけでもP-WORLDによれば19店舗(しかもみんな巨大)もあり、
すぐ近くの日ノ出町にはあんなにデカい場外馬券売り場があるじゃないか。
それなのに、ちっこいカジノがひとつ(カジノの面積はIR全体の3%以内と定められている)できたくらいで、
ギャンブル依存症が増えて治安が悪くなる・・・と思っていらっしゃるようです。
いやいやいや、いまさらカジノができたところでな~んにも変わりはしませんよ。
ほんとうにギャンブル依存を恐れるなら、
「ぱちんこ店は横浜から出ていけ」とか、「WINSは横浜にはいらない」と言わなきゃおかしいでしょ。
「ギャンブル依存症対策は待ったなしの喫緊の課題」
などというタワゴトを言う自称有識者がいっぱいいるから、
藤木会長も一般国民の多くもそれを信じ込まされちゃってる。
ぱちんこ業界への度重なる規制、そして貸金業法の改正などのおかげで、
少なくともぱちんこに関しては「依存症」患者(身を亡ぼすほどの患者)は圧倒的に減っているはずです。
「ギャンブル依存症疑い320万人」などというテキトー調査の数字に騙されてはいけない。
ギャンブル依存症が恐ろしいというのは否定しないけれども、
依存症というのは本人や周囲が困っているから依存症なわけで、
困っちゃった人を助けるシステムを整備したり困らないように啓蒙するのが必要なのであって、
困ってない人にまで余計なお世話を焼く必要はない。
ギャンブル依存症になるからカジノをつくるな、と言うのなら、
私は「ニコチン依存症が増えるからタバコをつくるな、売るな」と言いたい。
私の家の近所にあるパチ屋のF店は10年ほど前にできたのですが、
それができたからっていきなりパチンコにハマって依存症になった人なんて近所にいませんでしたよ。
絶対にいない。だって、F店で打ってて近所の知った顔の人に会ったことなどないもの。
それと同じで、カジノが近くにできたからっていきなり依存症になる人なんてそんなに多いわけがない。
カジノがよほど魅力的なら話は別ですが、カジノゲームなんてのはぱちんこと違ってクソほども面白くないし、
先述のように法外な入場料も取られる。そんなものに依存しちゃう一般人はいませんって。
思うに、藤木会長をはじめ横浜市民は、
依存症になりようもないほどに日本人のカジノへの参加はがんじがらめに規制されることなど
ご存じないのではないでしょうか。
だから「依存症が怖い」などということを反対の理由にするのでは。
横浜市はそのあたりを丁寧に市民に説明すればいいんじゃないでしょうか。
まず考えるべきはどうすればIRが成功するか・・であって、
依存症だのと騒ぐのはあとにしたほうがいいのでは。
実際、行き過ぎた(間違った)依存症対策によってぱちんこ業界は死に体なわけで、
同じようにIRも過度に依存症対策をやることによって失敗することになるのでは。
ともかく、「ギャンブル依存症への懸念」を理由に
カジノに反対するのはもういいかげんにしてほしい。
これまでほかの記事で書いてきたように、そもそも依存症と診断する基準もテキトー、
「320万人」などと言ってみたり「536万人」などと言ってみたり、調査もデタラメ。
対策を打ったところでそれに対して効果の検証もしない。
依存症依存症と騒ぐ人は結局のところぱちんこ店や競馬場がこの世からゼロにならないかぎり騒ぐことをやめないのだから、
そんなものはもう放っておくべきです
「こんな規制だらけのカジノでは失敗するからやめろ!」という理由でこそ反対してほしい。
横浜なら日帰りで行けますけど、私は横浜に(規制だらけの)カジノができてもわざわざ行こうとは1ミリも思いませんね。
桜木町の「ノスタルジア」さんで「南国育ち」でも打ったほうがよほど楽しい。
依存症を心配する前に、依存症患者が出るくらい面白いIRをつくることを考えるのが先なんじゃないかな・・・。