各地にフランチャイズ展開しているらしいデイサービス(通所介護)会社「デイサービス ラスベガス」がメディアで紹介されているのを見ました。
ふつうのデイサービス事業所の多くがみんなで歌を歌ったりとか折り紙したりといったレクリエーションを行っているのに対し、この会社はまるでカジノのような雰囲気のなかでカードゲームやパチンコや麻雀やカラオケなんかをやっているという。
じつはこの「ラスベガス」の加盟店が私の家から50キロくらいのところにできて、誰かから「パチンコ打てるデイサービスがある」っていうのは聞いてて、へえ~面白そう、と興味はあったのですが、その時点で父はもう亡くなっていたし母も要介護5で特養に入居していたから、それ以上突っ込んで調べたりはしなかったのです。
しかしメディアでの露出を目にしてあらためてサイトなどをよく見て、なるほどこれはウケそう、という気はしました。フランチャイズ展開を推進しているようで、被介護者の家族は「サービスの質は保てるのか」という心配をするかもしれないな、という気はしますが、
「仕方なく行く場所」から
「どうしても行きたい場所」へ
行きたくない施設に行かなければならないミスマッチほど、ご利用者を不幸にしてしまうことはありません。
デイサービス ラスベガスが、新しい選択肢として、一人でも多くの方の「介護のミスマッチ」を解消できるよう今後も改善を重ねて行きたいと思っています。
というポリシーは、たしかにそれは多くの介護者や被介護者が思っていたことだよな、と。これは流行って追随する業者も増えて、デイサービスそのものの在り方も変わっていくのかもしれない。
私の亡父は頑強にデイサービスへ行くのを嫌がったが・・・
今は亡き私の両親も一時デイサービスにお世話になったことがあります。
母はまだ認知症が激しい物忘れだけだった時期にしばらく通っていました。家に閉じこもりがちで外出は犬の散歩だけみたいな生活になっていたので、このままではどんどん認知症が進んでしまうだろうと思って行くようにしむけたのです。
最初に行ったのは、市が「生きがいデイサービス」と称して「介護予防」のためにやっているもの。介護保険とは関係なく、たしか1回参加するのに500円だかを払うものでした。介護保険でつかうデイサービスと違って大きなバスでまとめて送迎するから家までは迎えに来てくれず、数分歩いてバスがとまれるところまで私がいっしょに行って送っていました。帰りはたしか私が車で迎えに行っていたような。このときはけっこう楽しんで行ってたようでした。遠足みたいな感じでどこかへ連れてってもらってほかの参加者と撮った笑顔の写真がいっぱい残っています。
しかし「生きがいデイサービス」は「介護予防」が目的で、介護の必要がない人しか参加できない。だんだん認知症がすすんで「そろそろ厳しい」と言われ、要介護認定を受けて、介護保険をつかって通所介護を利用することに。
この時点では物忘れがいっそう進行。そして認知症の影響かそれとも抗認知症薬の副作用か(いま考えると薬のせいだったと思う)、温厚な人だったのにいつも不機嫌で怒りっぽくなりはじめていました。だからなのか、介護保険のデイサービスに行き始めたころは帰ってくると機嫌悪くてなんかほかの利用者の方への文句とかも言うことがありました。
しかし慣れてくるとそれなりに楽しくやれていたようでした。認知症のせい、もしくは薬のせいで機嫌が悪くなったとしても、このときはまだ他人にそういうところを見せてはいけないという理性が残っていましたから、ほかの利用者さんともうまく折り合いをつけられていたようにみえました。じぶんでつくった、小学生が図画工作でつくるようなものをよく持って帰ってきていましたね。
しかし父はデイサービスへ行くのをものすごく嫌がりました。
父は認知症はなかったのですが股関節の骨折でほぼ寝たきりとなり、私ひとりによる家での介護では入浴だけはどうしても無理だったので、入浴をさせてもらうため、という名目で行き始めましたが、「小学生の図画工作」みたいなこととか、あるいは施設などでよくやるような歌を歌ったりとかいうレクリエーションに参加するのはどうしても嫌だったらしい。そんなガキみたいなことやらされるのはいやだ、というわけです。
カラオケとか社交ダンスとかいった自分が好きなことなら私の父も喜んで行ったんでしょうが、私の父のように「ガキみたいなことやらされるのは嫌」というお年寄りは多いようですね。まあその気持ちはよくわかる。
私は図画工作や歌はそれはそれで楽しいじゃないかとも思うけれど、たぶんやることが子どもっぽいから嫌なのではなく、「子ども扱い」されるのが嫌、ということでしょう。私も相手が年寄りだからといってなめた口をきく人間は大嫌いだけれど、介護サービスの職員さんにも子どもに話すようにお年寄りと接する人はいる。認知症がすすんである意味子どもにかえったような状態のお年寄りにやさしく接しようとすると自然にそうなるんでしょうから仕方がないと思うけど。
そう考えると、レクリエーションとしてオトナの遊びを提供して、デイサービスをお年寄りが行きたがる場所にしようという件の企業の取り組みは素晴らしいと思える。ただただ疑似ギャンブルで遊ぶだけではなく体操の時間とかもちゃんととっているらしいし。
私の父はギャンブルを毛嫌いしていた(そのわりには宝くじを毎年数万円くらいは買っていた→「宝くじ」という超高射幸性ギャンブル )から、「こういう面白そうなデイサービスもあるぜ」と言ったとしても嫌がったかもしれませんが、こういうところもある、という選択肢がいっぱいあるのはいいことなのでは。
高齢者向けレクリエーションとしては麻雀が最強かも?
この「ラスベガス」さん、パチンコ・パチスロも選択肢のなかに用意されているようですね。現役のときパチンコ好きだったという方もいるでしょうし、お金使わずにたっぷり打てるのなら喜ぶ人も多いかもしれない。脳の機能をキープするためには対面でカードとかで勝負したりしたほうがいい影響がありそうですが、本人が楽しめることが第一じゃないでしょうか。
私なら丁半バクチやチンチロリンなどほかでは味わえないゲーム(大阪のカジノがこれやってくれたら私も一度は行ってみようと思いますけどね)があれば、トシとったら行ってみたい、と思いますねえ。しかし丁半やチンチロリンなんかはほぼ運だけだからすぐ飽きるかも。やっぱりカードとか麻雀とかの、相手と対面でやる、勝つためには戦術を練ることが必要となるゲームのほうがデイサービス施設などには向いているんでしょう。
そうすると麻雀なんかは高齢者施設のレクリエーションとしては最強なのかも。車いすに座っててもできるし、論理的な思考も必要だし、手元でこまかい作業もするし、勝負を決めるのは運だけではない。相手に勝つという闘争心もかきたてられ脳が活性化しそう。まあ認知症がすすんでいると難しいかもしれませんが、その前の段階にある方なら脳の活性化と認知症の進行をおくらせる効果がありそうですね!
疑似とはいえギャンブルを高齢者に提供することに違和感をおぼえる人も中にはいるのかな。宝くじや競馬は否定しないくせにカジノやぱちんこは毛嫌いする理解不能な人が日本には多いですからねえ。しかし私はこの試み、応援したいですね。フランチャイズで事業所をどんどこ増やしているようですが、あまり急がずに着実に頑張ってもらいたい