東京都が、飲食店や公共施設などを屋内原則禁煙とする条例を
制定する方針である、という報道を先日みました。
来年2月の都議会に条例案を提出するつもりとのことで、
都議会は受動喫煙防止に熱心な小池知事を支持する勢力が過半数を超えているそうですから、
提出されれば制定される可能性が高い、といっていいのでしょうか。
いちおうパブリックコメントが募集されているようですが・・・。
私は都民ではないですが、やはりパチンコ店がどうなっていくかが気になります。
「原則禁煙」といっても、喫煙室設置が可能な場所も
東京都が発表した東京都受動喫煙防止条例(仮称)の 基本的な考え方
によれば、「都民の健康増進の観点から、また、オリンピック・パラリンピックのホストシティとして、受動喫煙防止対策をより一層推進していくため」、
条例を制定する、ということで、要は国がモタモタしているからオリンピックに
間に合わないので、都は都で勝手にやってしまおう、ということでしょうか。
以下は、その「基本的な考え方」の文書より抜粋。
これによれば、パチンコ店は「原則屋内禁煙(喫煙専用室設置可)」
ということになりますね。面積30㎡以内のパチ屋などまずありえないし。
で、誰もが気になるであろうところは「(喫煙専用室設置可)」という部分。
文書では、
原則屋内禁煙(喫煙専用室設置可)とは、原則建物内は禁煙(乗物については原則車内禁煙)とし、一定要件を満たした喫煙専用室※を設置することができることです。
※ 一定要件を満たした喫煙専用室とは
煙が外部に流出することを防ぐための措置を講じるなど、独立した喫煙室のことです。
とされています。
この、「一定要件」というのがどういったものなのか、
それによっていくらでも抜け穴がつくれそうな気はしますね。
「喫煙コーナー」「禁煙コーナー」という分煙でもいいのか?
「喫煙専用室」とはつまり、いまさかんに言われている「分煙」みたいな感じでもいいんですかね。
たとえば10シマあるパチ屋で、1シマと9シマに区切って(煙が漏れないように壁をつくって)、
1シマが禁煙、9シマが「喫煙専用室です!」とかいうのでもいいのか。
まあここまで極端なら行政も「条例の趣旨を理解しろよ。バカにしてんの?」と言うでしょうが、
はたして、シマごとの分煙にして、喫煙シマを「喫煙専用室」という扱いにする、
というかたちは可能なのかが気になります。
これが認められるようなら、絵に描いた餅になってしまうと思うんですよね。
ふつうの感覚なら、遊戯台が置いてあるスペースはすべて禁煙、
ホールの端っこの休憩スペースみたいなところに密室の「喫煙室」がある、
みたいなイメージになるはずですけど・・・。
すべてのパチ屋が禁煙ならみんな条件は同じ。あとはホールの営業努力
非喫煙者である私としては、やはり「分煙」は不可能になる条例にしてもらって、
どこのパチ屋であっても遊戯中は全面禁煙、にしてもらいたい。
すべてのホールが平等に全面禁煙、になれば、
タバコを吸いたいパチンカーも、ほかに選択肢はないんだから我慢して打つでしょう。
タバコが吸えないならパチンコ打たない・・・などというパチンカーはいるんですかね。
もちろんなかにはいるかもしれないけれど、すごく少数ではないでしょうか。
いままでは禁煙のホールがあっても他に行けば吸えるからそっちに行っちゃったり、
分煙にすれば禁煙コーナーには客がつかない、ということになっていたわけで、
すべてのホールが法によって全面禁煙になれば平等、
禁煙や分煙に取り組んでいた先進的なホールがバカをみることはなくなるはず。
「完全分煙で事足りる」ようになるにはあと20年くらいかかると思う
オリンピック・パラリンピック担当大臣の鈴木俊一氏は、
受動喫煙対策について、
「原則禁煙ではなく徹底した分煙で」と言っているそうです
「分煙で充分だろ」という意見は多いようですが、
非喫煙者の目線からすれば、分煙は無意味、とまでは言わなくとも
どこまでいっても不充分なものであると言えます。
私見ですが、「公共の場では吸えないのが当たり前」というところまで
喫煙者の意識が変わらなければ、分煙はどれだけやってもダメだと思います。
どこまでいっても、煙を吸いたくない人が有無を言わさず吸わされる、という場面が出てきます。
前にも同じことを書きましたが→政治家の発言にみる、受動喫煙防止問題の根深さ、
たとえば会社のみんなで分煙のレストランに食事に行って、
上の立場の人間が吸う人で、自分が吸わない人だったらどうなるか。
「禁煙席と喫煙席はどちらになさいますか?」→「喫煙席で」
ということに絶対になりますよね。
そして、非喫煙者は煙を吸わされる。
私のような人間なら、「オレは吸わないんで別の席に行きます」というところですが、
組織に属している人はそうはいかない。これが友人でも同じでしょう。
子どもなんかもっと悲惨ですよね。親が吸えば否が応でも吸わされることになります。
この場面で、吸う人が「吸わない人がいるから禁煙席で。私はあとで吸うから」
とか言って譲る場面は、私はいままでに一度も体験したことがありません。
まず間違いなく、非喫煙者が遠慮する構図になります。
ここでそういう行動に出る人がもしいれば、それはまさに「マナーを心得ている人」であって、
私ですら、うわ~この人カッコいい!、と思いつつ「気にしないで吸ってください」と言うでしょう。
そこまでやって初めて「マナーがいい喫煙者」なんだ、という意識がないから、
こんな法律だの条例だのをつくらなければならない。
「分煙で」と主張する鈴木大臣は、こういうことを突き詰めて考えたことがおそらくないのでしょう。
そして、仮に部下が病弱で「タバコで苦しいんです」とか言おうものなら、
大西英男議員のような人には「働かなければいいんだよ」と言われてしまう。
というわけで、鈴木大臣や大西議員みたいな、
「タバコが吸えるのが当たり前、吸わない人間は我慢するのが当たり前」
という時代を生きた人間が現役で政治家とか経営者とかをやっている間は、
分煙をいくらやってもあまり意味がないでしょう。
あと20年くらい経って、「吸える場所が限定されるのが当たり前」という時代しか知らない
世代が大多数になれば、禁煙後進国の日本でも諸外国なみの
スモークフリー社会が実現できるかもしれません。
それまでは、法律でしばるのも止む無しかな、と思います。
しかし、「子どものいる家庭での喫煙禁止」はやりすぎ
都議会で多数をしめる都民ファーストの会はさらに、
子どものいる家庭の家庭内での喫煙禁止も
条例に盛り込もうとしているらしいです。
まあ~いくらなんでもこれを法律でしばるのはやりすぎでしょう。憲法違反にはならないのか?
違法なドラッグとかならまだしも、合法の喫煙を家庭内でやることに行政が干渉していいはずがない。
ここは法で禁じるのではなくて、タバコが子どもに与える害をもっと啓蒙するとかしかないでしょう。
まあ、罰則なしの努力義務にするつもりらしいので、
これは無理、というのはわかっているんでしょうが、努力義務にしても「余計なお世話」というものです。
これがもし通ったら逆に恐怖を感じますね。家庭内を云々言うのは絶対にやめるべきです。
喫煙者に「こんなに締め付けられて、どこで吸えばいいんだよ!」と言われたら、
「あんた自身の家」と答えるしかないわけで、そこを規制するのはどう考えても行き過ぎでしょう。
ともかく、「公共の場では吸えないのが当たり前」という意識が浸透すれば、
法律や条例でしばらなくても、副流煙で苦しむ非喫煙者や子どもなどが
いない社会は実現できるはずなので、啓蒙や教育が重要になるのかな、と思っています。
東京都の今後の動きと、それに対してのパチ屋の動きに注目したいです。