本ページのリンクには広告が含まれています 認知症の進行をふりかえってみる

認知症の周辺症状の話③~徘徊で警察に出動依頼、そして・・~

私の母の認知症の進行を振り返る記事の続きです。

前の記事 認知症の周辺症状の話②~徘徊が始まった~ にて、

パチ屋に連れて行った母がいつのまにか消えちゃって、

警察に捜索を依頼したところまで書きました。

で、私も「心当たりをさがして」と言われ、

心当たりなんかないんですけど車でぐるぐる回り続けて・・・

見つからなかったときのことを考えてみる

で、車でさがしまわっている間、焦りまくりながらも、

いろんなこと考えました。

 

夜になるといつも言っていた「帰りたい」が、昼間にあらわれちゃったのかな、とか、

最近はパチ屋で遊ぶことも理解できなくなってきたので、

ウルサイところでイライラしちゃったのかな、とか、

父が具合が悪くて、私と二人だけの毎日で、しかもいつも私に

なんだかんだ言われる生活でストレスが溜まっていたのかな、とか。

原因については思い当たることがたくさんありましたが、

いまさら考えてもしょうがない。

 

で、見つけなきゃ見つけなきゃ、と焦る気持ちの合間合間に、

恐ろしい考えがポっと浮かぶのに気が付きます。

「このまま見つからなかったら?」

見つからなくてもいいんじゃね?という考えが浮かぶのが恐ろしい

いま振り返ると我ながら恐ろしいと感じるのですが、

心の奥底のどこかでほんの少しだけ、

このままみつからなければ、父と母のダブル介護状態から解放されて少し楽になれる、

という考えが生まれていました。

 

このころの父は、トイレにはなんとか自分で行けるけど、

それ以外のことはなにもできないくらい弱って、入退院を繰り返す状態。

母は昼間はデイサービスに行かせていたけれど、

帰ってくれば言うことをきかず問題行動を繰り返し、

夜は寝ないので私も寝られない。家事など一切できないので、

炊事掃除洗濯のすべてを私がやらなければならず、

しかもそのすべてを母が妨害するなかでやらなければならない。

いま考えるとそんなにたいしたことないと思えますが、

そのときはだいぶ追いつめられていました。

パチ屋に母を連れて行ったのも、稼ぎのためもありますが、

家に母とふたりでいると気が狂いそうになるから。

 

ここで、母がみつからなければ、父の看病と介護だけになる。

父は頭ははっきりしているので、まだ介護する張り合いもある。

それでいいんじゃね?

 

という考えが浮かんだ次の瞬間に、

いやいやいや、ここで見つからなかったら、

自分の不注意で不幸な死に方をさせたという後悔を一生引きずるだろう。

自分を育ててくれた母が苦しんで野垂れ死になんて堪えられない。

という思いが沸き上がり、やっぱり絶対みつけなきゃあ、という気持ちになる。

自分のエゴイストぶりに暗澹たる気持ちになる

でも、結局私は自分のことしか考えてなかったんですよね。

母を野垂れ死にさせて後悔したり、嫌な気持ちを引きずったりするのが堪えられない、

という考えしかなかったんですから。

母が道に迷って、どれだけ不安な気持ちでさまよっているんだろうとか、

勝手に出歩きたくなる母の心理はどんなものなんだろうとか、

そういったことはあんまり考えてなかった。

まして、さっき書いたように、みつからなくてもしょうがないか、みたいな気持ちも

あったんですから、思い出すと自分の冷酷さと身勝手さを思い知らされます。

警察から電話が

ぐるぐる回り続けて2時間ほど経ったころ、

警察から電話がかかってきました。

 

「おかあさんがみつかりました」という電話でした。

もうみつからないんじゃないか、と思い始めていたころに

電話がかかってきたので、

「えっ!ほんとうですか?どこにいたんですか!?」と思わず大声で訊きました。

 

で、どこでみつかったかというと、いなくなったところから

距離としては最短の道を選んで7~8キロほど離れているところ。

ルートによってはもっと距離のある場所でした。

いなくなってから3時間くらいだったと思うんですけど、

そんなに歩いたのか?だれかに連れてってもらったんじゃないのか?

とか不思議に思ったんですが、まあとにかくみつかってよかった~と素直に喜びました。

身柄を引き取りに、警察署へ来てくれと言われ、ふたたび警察署へ向かいます。

防災無線って意外と聞かれている

警察署へ行くと、母はニコニコして座っていました。

あれだけ歩いたはずなのに、まったく疲れた様子はなし。

「どこ行ってたの!何やってたの!」と思わず大きな声を出してしまいました。

警察官が「まあまあ」と言って間に入ってくれましたが、

ほんとうはぶん殴りたかった。

 

で、どのようにしてみつかったのかを訊くと、

防災無線を聞いた人が、私の母がひとりで歩いているのをみて、「あの人じゃね?」

と思って通報してくれたそうなのです。

私は、防災無線の効果でみつかると思っていなかったので、

正直すごくびっくりしました。

で、このあと数日間の間、近所の人やかかりつけ医の看護師さんや

ケアマネージャーなどから、「防災無線聞いたけど、大事にならなくてよかったですね」

と言われまくりに。そのたびに「お騒がせしまして・・・」と

恐縮するハメになったのですが、こんなに防災無線が聞かれているとは思っていなかったのです。

お年寄りが行方不明になったという放送はしょっちゅう流れるのですが、

私はいつもまじめに聞いていなかったです。

 

通報してくれた方へ電話し、お礼をしに伺いたいと言ったら、

無事でよかったね、でもお礼なんて必要ないからやめてくれ、と言われ、

電話で重ねてお礼を申し上げました。

 

また同じようなことが万が一起こった時のために、ということで、

母の写真を撮られたり、手続き的なことを多少やって、警察署をあとにしました。

それ以来、外出時は絶対に目を離さないようにしたが・・・

それ以降、いっしょに外出するときは絶対に目を離さないように意識が変わりましたが、

それってけっこう難しいんですよね。

買い物していて、後ろについてきていると思って振り向くと、もういなかったりする。

もう常に手をつないでいなければならなくなりました。

 

実はこのほかに、もう1回警察にお世話になっています。

そのときは、犬の散歩に出たまま戻らず

(犬が家をおぼえていて、ひっぱって帰ってきてくれるので、

犬の散歩だけはひとりで行かせていました)通報。

このときはわりとすぐに見つかりましたが、

これ以降は犬の散歩も行かせられなくなりました。

 

こうして、デイサービスに行っている間以外は、

常に私に監視され続けることになった母は、

ますますストレスがたまるようになったのか、

さらにいろいろな問題行動を起こすようになります。

それについては、また別の記事にて。

-認知症の進行をふりかえってみる
-, , , ,