本ページのリンクには広告が含まれています 認知症・介護 認知症の進行をふりかえってみる

長生きすれば誰でも認知症になる。だから勉強しておこう。

日本でひろく使われている認知機能の検査法「長谷川式簡易知能評価スケール」の生みの親であり、認知症医療の第一人者だった、医師の長谷川和夫先生がさる11月13日に亡くなられました。心よりご冥福をお祈りいたします。

以前にも記事にしたように、私の母も認知症初期のころは病院の精神科に通い、行くたびに「長谷川式スケール」で認知機能の検査をやり、その点数に一喜一憂(いや違うな。「喜」はほとんどなかった。悪くなることはあっても良くなることはなかったから)したものです。

認知症の母を初めて医者に診せたころの話

記事にしようしようと思って結局まだできてませんが、先生が自身が認知症と診断されたことを公表され、その後に著された著書「ボクはやっと認知症のことがわかった」は、患者本人の立場からの「認知症になるとどうなるのか」「患者は周囲の人にどうしてほしいのか」というのを知ることができて、「ああ、母が認知症になる前にこういう本にめぐり合っていればなあ~」という気持ちになった良書でした。

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これまで私は「認知症にならないためにはどうすればいいのか」というスタンスの記事も書いたりしていましたが、長谷川先生も書いておられたように認知症のいちばんの危険因子は「加齢」なのであり、いかにして発症を遅らせるかという努力はしたほうがいいとしても、長生きすれば程度の差はあれ誰でもなってしまうものなのであり、いざ家族や自分がなったときにどうするか、というのを考えておくのが重要なんだ、と最近は思うようになりました。その意味では、いざそうなる前にこういう本を読んで知識武装しておくのは非常に意義のあることだと思います。

「前もって」というところが難しいんですけどね、その状況にじっさいに遭遇しないかぎりは、大部分の人は他人事としかとらえられない。昔の私もそうでしたし、私の兄弟などはいまだに他人事のようなカオして、母になにが起ころうとも「お前がなんとかしろ、こっちは忙しいんだ」というスタンスです(本人たちは否定するでしょうけどね)。ブン殴りたくなる。

いつか必ずそうなることを前提に考えておく必要がある

このブログを始めたころには、どんどん症状が進行する母をみて「どうすれば症状を緩和できるのか」とか、「自分がそうならないためにはどうすればいいのか」ということばかり考えていて、先ほども言ったようにそういう方向性の記事を書いたりしていました。

しかし、リスクを減らすためにいろいろ取り組むのがまったく無意味というわけではないとしても、最大のリスクである「加齢」を避けることは不可能であるなら、もっとも大事なのは、いつか必ずなるということを覚悟して、そのときに備える、ということなんでしょう。

私はまだ50代に入ったばかりですが、最近は自分が認知症を発症しちゃったらどうしようということをよく考えます。なにしろ認知症の発症リスクが猛烈に高そうな生活してますからね。運動しない、孤独、常にイライラしがちで脳にダメージがありそうなぱちんこというギャンブルに明け暮れ、毎日同じことのくりかえし。

パチプロは認知症になることが約束された生き物

家族がいれば助けてくれる可能性もありますが、私の場合はそれがないですからね、もうどうしたらいいのか。老人ホームに入れてもらうしかないのか。独り者のいざ認知症になったときの備え、というのは掘り下げて勉強しておく必要がありますね。

しかしこのブログの読者の方の多くはとりあえず、自分の心配よりも親などの家族がもしそうなったら、というほうが先でしょう。私は自分の母が認知症を発症するまでそういうことを一切想定しておらず勉強もしてませんでしたから、困ったことがいろいろ起きてそのたびに右往左往して苦しむ事態に。

知識があればもっと楽だったかもしれない

今考えると、人格はまだ変わってなくて元気、ただ物忘れが激しいだけ・・っていう状態だったあいだは、同じことなん百回も訊かれてイライラすることはあっても、そんなに苦しくなかった気がします。認知症ってのはそういうもんだから、と考えた。

しかし、三角コーナーの生ごみを後生大事に冷蔵庫にしまっておいて食べようとしたり、夜中にゴソゴソ起き出して勝手に出て行っちゃったり、ティッシュを食べちゃったり、自分の便をポケットやタンスにしまったりというのが起こるようになってくると苦しさ激増。病気なんだから仕方ない、と考える余裕はなくなり、「なんでそんなことするんだよ!」と怒りしか沸いてこなくなります。

その「なんでそんなことすんのか」ということに対しての答えを知識として持ち合わせていたなら、ひょっとすると(それだけでうまく対応できるほどカンタンな話じゃないとしても)もうちょっと気持ち的にラクになって、母に対してもやさしくできたのかもしれない・・・というようなことを、こちらの本を読んで考えました。↓

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すごく売れているっていうから買ってみた本。認知症でない人からすると「なんでそんなことすんの?」としか思えないような行動の裏にはどんな理由があるのか、認知症の方が認知している世界とそうでない人の認知のしかたを対比して説明してくれてます。

これに書いてある認知症の方の行動・症状の多くは私の母にもじっさいにあったこと。「何度も同じことを聞く」「できなくなっても家事をしたがる」「帰り道がわからない」「便を服にこすりつける」「食事を拒否」「介護を拒否」など。

この本ではそれについて「認知症の方はこういうふうに考えているからそういう行動になる(と思われる)」というのがわかりやすく書かれていて、とりあえず読んでおけば、いざ家族が認知症になって行動がおかしくなったときに「ああ、こう考えているからこうなるのかもしれない」と考えることができて、適切な対応がとれるかもしれないし、「なにしてんだよ!」って怒鳴るのではなく、やさしく対応できるかもしれない。

読んでいると「ああ、母もあのときはこういうふうに考えてあんなことしたのかな。どうしてわかってやれなかったのか」と反省しきりに。知識がなかったから「なんでだよ!」となり、精神的な余裕がなくなり、母にやさしく接することができなくなり、自己嫌悪に陥りますます辛くなる・・という状態になると、「なんで?」について勉強しようなんてのは絶対にムリ。前もって勉強しておくべきです。

まあ本を何冊か読んだくらいでうまくいけば苦労はしない・・と言われればそれはそのとおりかもしれないけど、知識があるのとまったくないのと、どっちがうまくいく可能性が高いかといえば、それは知識があるほうに決まっている。その意味で今回紹介した2冊の本はおススメできると思います。

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