本ページのリンクには広告が含まれています 認知症・介護

認知症の母~施設での転倒事故~

以前に、老人の骨折の恐ろしさ という記事で、

お年寄りの骨折がいかに恐ろしいものか、ということを書きました。

私の母はいまは自力で歩けなくなり、

転ぶという心配があまりなくなってきましたが、

ウロウロ歩き回っていたころは何度も転びました。

で、老健(介護老人保健施設)にいたころも何度もやっていたのですが、

ついにモロに頭を強打する事故が起き、救急車で運ばれたことがありました。

そこからいろいろと病気が発覚したりしたので、

そのあたりについて書いていきます。

歩いても寝ても座っても危ない

現在は歩けない私の母も、老健にいたころはとにかくウロウロ落ち着きのない状態で、

目を離すとひたすら歩き回り、夜も寝ずにガサガサやっていました。

しっかり歩けたときはそれでもよかったですが、

だんだん歩行がおぼつかなくなってきて、頻繁に転ぶようになってきました。

 

施設としては骨折されるのが怖いため、なるべく座らせておこうとします。

しかし、母は自分の姿勢がまっすぐか傾いているか、ということが判断できなくなっていまして、

体が傾いてそのまま車いすから落ちたりするので、座っていても安心できない。

 

かといって、寝かせていてもベッドから転落したりします。

転落防止のために柵を・・・と職員さんに言ったことがありますが、

ベッド柵は「身体拘束」となるため、施設では不可能だそうです。

これも理不尽といえば理不尽ですが・・・。

 

ということで、何度も「転びました」という報告を職員から受けていました。

しかしある日、

轟音がしたくらいものすごい勢いで頭を強打したので念のため救急車で病院へ運んだ、

という電話を受けました。

 

父が亡くなったときも、転倒がひとつのきっかけでしたので、

ついに来るべき時が来たのか・・というあきらめにも似た気持ちを抱きつつ、

私も病院へ急行しました。

「慢性硬膜下血腫」と診断される

救急外来ではとりあえず骨折などはみつからなかったのですが、

脳の右側に血が溜まっているのが発見されました。

これは今回の転倒で溜まったのではなく、

いつだかはわからないがなんらかの過去の出来事によって出血したものが溜まっているもの、

と言われました。

あらためて脳神経外科を受診するように指示されました。

 

で、脳神経外科でみてもらうと、

「慢性硬膜下血腫」との診断。

 

慢性硬膜下血腫とは、硬膜(脳と頭蓋骨の間にある膜)と脳の間に血液がたまる病気。

たまった血液が脳を圧迫して、いろいろな症状が出ることがあります。

脳神経外科疾患情報ページ

 

頭を打ったりしたことが原因で起こる病気らしいのですが、

ふつう数週間~数か月かかって血がたまるので、

今回の転倒が原因ではなく、過去に頭を打ったりしたときのものだろうということ。

 

転倒は何度もやっているので、思いあたることがあるといえばあるんですけど、

CT写真では脳の右側にものすごく広範囲の血種(白く写っている)があって、

こりゃあたいへんだ、痛くないのかなと。

若い人の場合はものすごい痛みや運動障害があるらしいのですが、

高齢者の場合は認知症状があらわれるらしい。

 

母の場合はそれ以前にアルツハイマーがあったわけで、

頭が痛いとか訴えることもできないし、

運動障害があったとしても認知症の進行もしくは筋力や意欲の低下と判断されていたので、

今回頭を打ってCTを撮るまで発見できませんでした。

 

で、医師によると、要は脳が血腫によって圧迫され悪影響が出る病気なのですが、

母の場合はすでにアルツハイマーによって脳がスカスカになっているので、

圧迫されても悪影響はなさそうだ、って言うのですね。

なので、手術ではなく水分をひく漢方薬を飲み、

溜まった血が自然に吸収されるのを待ってみよう、ということになりました。

頭を打った後は要注意

在宅で介護をしていたりすると、あやまって頭を打ったりすることって

けっこうあると思うのです。

私の母もベッドから落ちたり、足元のちょっとしたものにつまづいて顔から落ちたりとか

よくありました。これはもうどんなに注意していても完全には避けられない。

 

かといって施設に入っていても、身体拘束ができない前提では

転倒を100%防ぐことはできないわけですが、

在宅介護だと頭を打っても医者に連れて行ったりしないですませるケースが多いと思います。

これはけっこう危険なことですね。

頭を打ったときに気を失ったり、「頭が痛い」とか「吐き気がする」とか訴えれば

病院へ行こう、となりますが、

慢性硬膜下血腫の場合は症状が出るまでに何か月もかかったりするわけです。

「治る認知症」

この「慢性硬膜下血腫」によって引き起こされる認知症のような症状は、

アルツハイマー型認知症などと区別をつけるのが難しいらしいのですね。

だから、頭を打ったことを本人や家族が覚えていなかったり、

さらに私の母のようにもともと認知症があったりすると、

受診して脳のCTをとる、ということがなかなかないこと思います。

 

しかしこの「慢性硬膜下血腫」の場合、

血腫をとれば劇的に症状が改善する、ということが多いらしいので、

なにかあったらとにかく脳神経外科を受診して、

脳の写真をとってもらうことはものすごく重要なことです。

漢方薬で血腫はなくなったが・・

で、漢方薬「五苓散」を飲みつづけ、通院して脳を観察してもらっていたところ、

しばらくして血腫は消えてなくなりました。

ひょっとして認知症の症状が改善するのでは・・という

期待もほんのちょっとだけしていたのですが、そっちはほとんど変化なし。

まあ、もともと脳がスカスカだったから

血腫で圧迫されても影響がない、というのがその通りだったわけです。

 

慢性硬膜下血腫はよくなったものの、この治療の過程で

また別の脳の病気が発覚します。

そっちは手術ということになり・・・。

それも記事にしたいと思います。

認知症の母:「正常圧水頭症」と診断される

-認知症・介護
-, , ,