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スマート遊技機は、どうやら業界の救世主にはなり得ないっぽい?

わが地域のホールにも導入された「スマートパチンコ」。

どこのホールにもみるからに回らなそうな釘しかなくて私はまだ触っていませんが、どのホールもスマートパチンコの客付きは芳しくないようにみえます。導入から数日間たったらもうみんなエヴァやリゼロあたりに戻っていってしまった感じ。

そんななか、日工組(日本遊技機工業組合)が、稼働のテコ入れのためにパチンコ遊技機の出玉性能に関する「内規」を改正すると言っているらしい。

Web Green Belt 日工組、スマートパチンコを含む「内規改正」へ

その後の正式な発表が見当たらないのではっきりわかりませんが、ネット上に出ている情報ではどうやら出玉総量(ラッシュ等の1回の期待出玉)を6,400→9,600個にアップさせる、という改正らしい。ただし初当たり確率1/200以上かつCタイム非搭載のP機とe機にかぎる、ということのようです。

するとライトミドルスペックで連チャン性能を激アップさせる(その場合当然ラッシュ突入率が猛烈に低くなることになるんでしょう)ことができる、ということか。なんべん当たっても延々とラッシュに入らない、ってのが今よりもさらに激しくなることが予想されますね。

しかし・・・この「内規改正」のニュースをみて「連チャン性能がアップするのか!こりゃあ楽しみだぜ!」と思うパチンコファンが、はたしてどれだけいるだろうか。まあいるんだろうけど、それは業界がこれまで建前上追放しようとしていた「依存症」の層だけなんじゃあないか。建前上「いなくなってほしい」はずの依存症層だけが喜ぶようなことばかりやりたがり、ライトなファンが安心して打てるような台をつくってそういうファンに戻ってきてもらう努力をしようとしないのはなぜなんだろう。

そもそも「スマパチの稼働が悪い」→「そりゃあ出玉性能がイマイチだからじゃないのか?」→「期待出玉をアップさせてギャンブル性を高めりゃあみんな打つだろ!」・・・っていう発想自体が間違っている気がする。遊技機メーカー団体のお偉方ならけっこうなトシの人のはずで、ならば20世紀末のぱちんこの黄金時代も知ってるだろうし、そのころのほんとうに面白かった台のことも知ってるはず。そうであるなら「スマパチの稼働が悪い」→「そりゃあつまらない台しかないからじゃないのか?射幸性が高いというだけじゃない、客を惹きつける面白い台をつくらなくては!」という発想になってしかるべきじゃないのか。自腹切って打つ、ということをしてないんだろうなあ。だから客の気持ちが理解できないんでしょう。まあ私もスマパチは打ってないからその意味では私にもなんやかんや言う資格はありませんが、打ったところでどうせ全部同じ台であろうことはわかるし、そもそも「打ってみよう」という気にすらさせてくれない。

スマート遊技機には「あたらしい客」を増やそうという気が1ミリも感じられない

私が行くホールにも数台入った「e必殺仕置人」。

私もどんな釘になっているのか見ようと思って座ったことはありますが、釘うんぬん以前にあのバカでかい全面液晶をみてもう打つ気をなくしました。

いやいやいや、あんなもんの前に何時間もいたら確実に目がやられるでしょ。以前の記事で「パチンコはやっぱり粘って粘って頑張って勝ちを目指すもんだよなあ」と書きましたが、→日常の稼働:パチンコはやっぱり「粘って粘って頑張って」勝つのが理想! あんな台で粘って粘って頑張ったら経済的にも身体的にも破滅へ一直線でしょう。「粘って粘って頑張ってください」などという気持ちはないんでしょうね。持ち玉で粘られたら困るからああいう疲れる台にしてるのかな、と勘繰ってしまう。「『レストハンドル』は長時間の遊技でも疲れにくい」、と言いながら、少なくない客がサングラス持参で打つような巨大液晶を「どうだすげえだろ」と誇る矛盾になぜ気づかないのか。自分で打たないからわからないんでしょうね。

それに、パッと見では「なにをどうすればいいのかわからない」となる、打ち手に不親切そのものの台のデザイン。何十年もパチンコ打ってる私でさえ「?」となるくらいだから、たまにしか打たない人や初めてパチンコ打つような人は「なんだかよくわからないから打つのやめよう」となるのは必定、と思える。もっとわかりやすくなるように、業界全体で統一した筐体にすればいいじゃないか。なんのために業界団体があるんだよ。

いずれにしろ、後述するようなスペックの部分も含めて、スマート遊技機は初心者や初級者にやさしくない、というふうに感じます。これまで何度も書いてきたように、業界はもうちょっと新しい客を増やすためにどうすればいいかを考えるべきでは。

業界にとっては「新しい客」は「若い客」ということになり、「若い客」を惹きつけるにはド派手なマンガ液晶搭載の台がいいんだ、ということなのかな。それなら子供だましのテレビゲーム台ばかりでも仕方がないけど、若い客を増やしたいなら年配客よりも経済的余裕が少ないと一般的には思われる若い層が手軽に打てるような穏やかなスペックの台を増やすような方向にもっていくべきじゃないか。しかし客を増やすために業界が考えるのは「よりギャンブル性を上げよう」ということだけ。すると業界はやっぱり「すでに依存症になっている客からよりカネをまき上げよう」ということしか考えてないんだな、と理解するしかない。

その依存症層もこの値上げと増税の波の中でカネが続かなくなり、ついにぱちんこをやめざるを得なくなった、という人が増えていく。新しい客は増えない、依存症層もどんどん離脱していく、となればぱちんこ参加人口が減るのは当たり前。少子化対策に対して危機感がまったく感じられない政府の奴らと同じか。少子化で納税者人口が減少しても増税すりゃあそれでOK、っていうのと、ぱちんこ参加人口が減ろうがまだ参加してる人からもっとカネとればいいんだ、というのは似ていますね。そう考えると日本という国もぱちんこという産業も、滅びに向かってまっしぐらという点で同じなんでしょう。

「出玉感」がスポイルされる「スマート遊技機」は、その時点でマイナスからスタートしている

スマパチは未体験の私もスマスロのほうは何度か打ちました。北斗の拳だけですが。

その北斗の拳、現時点ではなかなかの人気となっていますね。業界の人は「一撃万枚も可能という、6号機の限界をぶち破ったスペックがウケた」という認識なのかな。だからこそ日工組も「稼働が悪い?じゃもっと出るように内規を変えようぜ」という思考になるんでしょう。

しかし北斗に関していえば、ウケているのはスペックだけの話ではないでしょう。現在のほかのパチスロと比較したら圧倒的にわかりやすく単純なゲーム性がウケたということなんじゃないか。そのうえ初代ですでに完成されつくした演出を継承しているとあっては、人気が出るのは当然という気がします。

しかしその「スマスロ北斗の拳」を打って感じたのは、やっぱりメダルレスは「出玉感」が乏しいなあ~ということ。店側にとっても「出ているということが伝えづらい」という意味でそうだし、客側もやっぱり「メダルがジャカジャカ出て脳汁が溢れる」という感覚がない。なんかね、連チャンすると自然に左手が下皿に行って出たメダルを触ろうとしちゃうんですよ。でもそこにはなにもなくて「ああそうだ、メダルレスだったんだ」ってなる。これがなんか寂しいというかつまらない。

打ってないけどスマパチもおそらく同じでしょう。これまでは、パーソナルシステムでドル箱を積まないシステムだったとしても、とりあえず玉はジャカジャカ出て「玉を抜いてください」とか言われたから、出てる感覚はそれほど損なわれなかった。スマパチ云々以前にすでにそんなことはもうないけど、電サポ中に止め打ちして玉が少しづつ払いだされ徐々に玉が増えていく、なんていう快感はスマパチでは味わえないでしょうね。

客は玉やメダルがジャンジャンバリバリ出るのを期待してパチ屋に行くのだから、「出玉感が乏しい」というデメリットは非常に大きいと感じます。「手が汚れない」とかいうメリットはそれですべて帳消しになっちゃう。

そう考えるとスマート遊技機は最初からマイナスを背負っているわけで、だからこそスマート遊技機だけに特権的な出玉性能を認めているんでしょうが、出玉性能だけが優れていても支持されるわけではない、っていうのは北斗以外のスマスロがすでに通路になっていることからも明らか。北斗の成功をみて「やっぱり出玉性能が大事だ!」というのではなく、「やっぱりわかりやすくてシンプルな台がいちばんなんだ!」というふうに認識してほしい。

一撃出玉を増やすのではなく、「成功体験」をつめる可能性を高めてほしい

「仕置人」の話に戻りましょう。

初当たり確率が1/349.9というスペック。私がもっとも打ち込んだデジパチのひとつ「CRベルサイユのばらGX」(1/345.5)と同じくらいですが、ベルばらは確変率50%、すべての大当たりで約1,800個獲得という今の感覚では考えられないくらいの安心スペックだったのに対し、仕置人は1/349.9をようやく突破しても半分は4ラウンドのゴミ出玉で終わり、まとまった出玉を獲得して「やった~!」という成功体験を得られる可能性はかぎりなく低い。

あらたな内規に基づいた台はこれよりもさらに「成功体験」が得られる可能性は低くなり、いわゆる「勝率」も下がることになりますね。つまり、たまの休みの日にパチンコ行ったとき「負けてガッカリして帰ってくる」ことがますます増え、せっかくの休みが台無しになる確率が今よりも増えるということです。

「勝率」を気にしてはいけない、トータルでプラス収支になればいいんだから、と何度も書いてきましたが、→パチンコ・パチスロ:「連敗」とか「連勝」とかいうとらえ方を捨てよう! それはあくまでも「カネのためにぱちんこを打つ人」はそうすべき、ということであって、遊びで打つ人にとっては短いスパンの「勝率」というのは非常に重要なことであるのは間違いないでしょう。

それに、初めて打った人はいわゆる「ビギナーズラック」で勝ったほうが、そのあとパチンコに「ハマって」その後も継続的に来てくれる可能性は高くなるでしょう。すると初心者でもそこそこの確率で勝って帰れる、っていうくらいの「勝率」があったほうがいいに決まっている。しかし現在の台は一撃必殺の性能をたかめるかわりに、「たまたま勝つ」可能性が圧倒的に低くなってしまっている。知識がないと絶対に損する仕様になっている現在のパチスロはなおさら。これでは新しい客など増えるわけがない。→「ぱちんこ未体験」の方に新たにぱちんこファンになってもらうには?

初心者にかぎらず、とりあえず「たまには勝って気持ちよくなって帰れる」っていうのが重要だと思うんですよね。そうなってないからぱちんこ参加人口は右肩下がりになっている。そこを踏まえると日工組の「スマパチ評判悪い!連チャン性能をアップさせよう!」ってのはどう考えても間違っている。ベース規制を復活させるとかヘソ賞球の下限を7個にするとか、やるべきことはそういったことなのでは。

 

というわけで、スマート遊技機の稼働がイマイチなのをなんとかするために「もっと波を荒くしよう!」というのはやめたほうがいいと思ってます。それで喜ぶのは依存症層だけ、そしてその依存症層はますます負けてやがてカネが尽きてパチ屋に来なくなり、パチ屋は「それじゃあまだ来ている客からもっとカネを搾り取ろう」とさらに釘をシメ、結果ますます客が来なくなりホールが潰れ、ホールが減ればメーカーも潰れ、最終的にはぱちんこ業界が滅ぶ、ということになるでしょう。まあ内規が変わってもメーカーがそういう台をつくらなければ、そしてホールが買わなければいいだけの話なので、おかしな荒波台が増えないことを祈りたい。

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